5月1日Ⅵ(12)

「もう話はいいの?」

五分ほど経った後、浴室から二人が揃って出てくる。

「はい、もう大丈夫ですよ」

「うん、三和さんぶん殴ってすっきりした」

「ええ!?」

そんな物騒なことがあの中で!?

「嘘嘘。もう話し合っていざこざはなくなったから大丈夫だよ」

そう言って詩歌はにっこり笑う。

「そっか、ならいっか」

私は二人に笑った。


「じゃあ髪乾かそ〜」

「はーい」

「はい!」

詩歌のセリフを皮切りに、髪乾かし大会が始まった。

乾かし大会ってなんや。


「それにしても二人とも髪の毛綺麗だねぇ」

「架那ちゃんがそれ言う?」

「そうですよ架那さん」

わぁ。

実際に言葉にされると気恥ずかしいな。

「そ、そう?

 でも詩歌みたいに首元までかかるほど長くないし、三和さんみたいに美しい色

 じゃないし」

「架那さんには架那さんの良さがあるんですから。

 そんなことないですよ」

「うん、そうだよ架那ちゃん」

「あ、ありがと」

「「うん!」」

そか。

二人は私のことそんなふうに思っててくれたんだ。

自分のことをわかってくれる人がいるってのは良いことなんだな。

ありがたい。

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