5月1日Ⅵ(13)

「ちなみに、愛奈さんの学校ってどこなの?」

「私はT高です。架那さん、詩歌さんはS高ですよね」

「え、T高!?

 めちゃめちゃ私立のお嬢様学校じゃん」

浴室を出て、自室に向かうと、そこで愛奈さんに尋ねてみた。

「まあ、三和財閥の御令嬢ならそんなもんじゃないの?」

詩歌はどこか納得行ったような顔でそう言う。

「親の都合で通わせていただいているだけですわ。

 本当は私もS高の理数科に行きたかったのですが」

愛奈さんは残念そうに言う。

「愛奈さんって理系なの?」

「ええ、まあ。Dr.カンフルの研究発表を自ら見た方は皆そうなると思いますよ。

 あの発表は素晴らしく知的好奇心を刺激する物でしたから」

愛奈さんは屈託ない笑顔と共に言う。


「もしS高に行けていれば3人で学校生活を送れましたのにね」

「なら今のままでよかった〜」

詩歌は意地の悪い笑顔で言う。

「もう。詩歌さんは正直な方ではないのですのね」

「だね」

私は愛奈さんと笑いあった。



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