5月1日Ⅵ(7)

「じゃあまず架那ちゃん座ってぇ〜」

詩歌が椅子を手でぽんぽん叩く。

「いい?セクハラ禁止だからね!わかった?」

「セクハラッテナニオイシイノ。ワタシタダアラウダケ」

ロボット化しやがった。

「じゃあ洗うね〜、動かないでね〜」

詩歌はそう言いながら背中をごしごし洗ってくる。

「ごしごしあわあわ〜」

なんか変な擬音を発してる。

詩歌をチラ見すると、ものすごく嬉しそうな表情を浮かべている。

対して愛奈さんは、することがなく暇なのか、お風呂の縁に手を置いてにっこりしながらこっちを見ている。

「じゃあ前向いて〜」

「ま、前はいいよ!自分でやる!」

「えー、だめだよぉ。ほら後ろ向いて!」

「やだ!」

私と詩歌の問答が続く。

「でしたら、後ろから手を伸ばして洗えば架那さんも恥ずかしくないのではないでし

 ょうか?」

「三和さん天才だよ。ちょっと貴女のこと信用できそう」

「まあ、ありがとうございます!」

おいおい。

当人の意見は無視ですか。

「じゃあ洗うねー、大丈夫極力見ないからぁ」

「そう言う問題じゃないのにぃ!」

私の叫びも虚しく、詩歌に全身洗われた。

ううう。

恥ずかしい。

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