4月30日Ⅵθ(29)

完璧だ。

本当にこの人は今までのループを全て見てきて、覚えているというのが真実味を帯びてきた。

「なら、なぜ架那ちゃんにはその話をしなかった?」

「神坂様が私と同じような力を持っているのだとすれば、私が架那様に告げると

 いう行為は、詩歌様が行うのとなんら変わりはないのではないでしょうか」

その通りだ。

私も同じ立場ならそうかんがえる。

だが私的にはこの人たちは嫌いだ。

何度も架那ちゃんは襲われたし、その度何度も死んだし。

でも…。


「それもそうね。なら最後に一つ」

「なんでしょう」

三和さんは私に尋ねる。

「見てきたから知ってるだろうけど、貴方達のせいで私は何度も死んだ。

 その事実は変わらない。

 けど、架那ちゃんが今こうして生きてて、貴女の話をしたと言うことは、架那

 ちゃんは貴女のことを信用したということ。

 なら私は貴方達が本当に架那を利用するつもりがないのか、確認のために同伴

 することは可能だよね?というかさせてもらってもいいよね?」

「架那様次第でございますが、私共としましては、戦力が増えるに越したことは

 ありませんよ。敵は遥かに強大ですからね」

「そう。なら架那ちゃんに尋ねてみるとしますか」

「ええ、わかりました」

嘘を言っているようなわけではない、のか?

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