4月30日Ⅵ(6)

「おじゃましまーす」

「ただいまー」

詩歌と一緒に家へと入る。

なんか同棲してるみたいでむず痒い。

「ここが架那ちゃん家かぁ〜。いいねぇ」

詩歌は入るなりそう言って、中を見渡す。

「特に面白いものなんてなんもないよ」

「いいのいいの〜」

私がそう言うも、詩歌は聞く耳を持たない。

早速家の中の探検が始まった。


「我は満足である」

結局あのあと30分くらい家の中を見て回った詩歌。

まるで点検に来た業者のように隅々までチェックされた。

特に絵なんて見ても何かあるのだろうか。

「第二の実家と言ってもいいくらい知り尽くした気がする」

「うちは見せ物じゃないんだが」

「いいじゃん減るもんじゃないし」

「そうですかぃ」

まあ詩歌が楽しかったならいいとするか。


家に友人なんて呼んだことなかったから、勝手がわからない。

相手のペースに合わせるのがいいのかな?


「じゃあ架那ちゃん。早速食料の買い出しに行こうではないか」

「え、晩御飯の支度ならもうできてるけど?」

「一緒に作るの。今日は寝かせないよ?」

その言葉はとても甘美なもので、逆らう意思を私は持ち合わせていなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る