4月30日Ⅵ(4)

「君たちの名前とホームルームは?」

城咲さんの説明のあと、伏見さんが尋ねてくる。

「楠木架那です、11HRです」

「神坂詩歌です、同じく11HRです」

私たち二人、それぞれ自己紹介をする。

「え、楠木架那って、あの楠木架那?

 去年中学生ながら日本物理学会に出て賞を取ったとかいう」

伏見先輩が、驚いた顔のまま、私に尋ねる。

「昔のことですし、たまたまですよ」

私は苦笑いで返事をする。

あんな昔のこと覚えてる人いたんだ。

「それはいいとして、二人とも理数科なんだ。それなら頼もしいな。

 俺たちは、しりうすだけ普通科で、三人は理数科だよ」

森高さんが、そう説明してくれる。

「そうなんですね!」

やっぱり少数精鋭というやつだろう。

うむ。


「とりあえず、何か実験でもする?なんかやりたいことある?」

しりうす先輩が言うには、先輩方がやっている実験はいくつかあって、

音による液状化。

スライムでの流体力学。

などらしい。

音は難しそうだからなぁ。

スライムやりたいかなぁ。

「私スライムがいい!」

詩歌が元気に言う。

「私もスライムでお願いします」

「じゃあ、それで決まりだね」

そうして、私たちはスライムを作ってみることになった。


「いやぁ楽しかったね。スライム作るの」

物理室を出て、詩歌が満足そうに頷く。

「というか、架那ちゃんってやっぱりすごく頭よかったの?

 伏見先輩も言ってたけど」

「だからたまたまだって。私なんてそんな大したやつじゃないもん」

「そう言うならそう言うことにしておこう」

しぶしぶ詩歌は納得してくれた。


「今日はもう遅いし、帰る?」

詩歌がそう尋ねる。

「そうしよっか」

明日からも、いっぱい部活回れるといいな。

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