4月30日Ⅵ(3)

「ここ?だよね?」

詩歌が訪ねてくる。

第二物理室と書いてある。

物理準備室の看板だけやたら綺麗だ。

鳥の絵も書いてある、かわいい。

なんだろ。

「入ってみるか。失礼します」

いざ物理班へ!


入ると、先輩方が白衣を着て、先生が使う机のところでなにやら集まって動画を撮っていた。

タイミングが悪かっただろうか。

「す、すみません。では、失礼します」

一回帰って出直そう。

「ちょっと待って!大丈夫だから!」

一人先輩が走ってきて私たちを呼び止めた。


「えーと、さっきのはなんですか?」

中に入るといきなり詩歌がそう尋ねた。

よく聞けるなぁ。

私は無理だよ。

「ああ、あれ?あれは一年生用に動画を撮ってたんだよ。うん。ね、班長?」

髪が天然パーマの先輩が、班長さんの方を向いて笑っている。

「ああ、うんうん。そうそう。

 ごめんね、新入生だよね?」

班長さんは、私たちの方に向き直ると、椅子に座るように言った。

「とりあえず、俺らの紹介するね。

 この布マスクが、天狼星。通称しりうす。

 このでかいやつが、森高次郎。

 この天パが、伏見槐。副班長ね。

 で、僕が、城咲らいと。通称班長です。

 以上二年生四人。そんな感じです」

なるほど。

これが俗に言う少数精鋭ですな。

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