4月30日Ⅴ(11)

「いやぁもういつ死んでも良いや。眼福眼福」

くぅぅ。

詩歌怖い。

あの子怖い。

私が浴槽からなんとか逃げ出すまでの5分間、すごい遊ばれた。

くっ…、殺せぇ!


「詩歌ちゃんが一人、詩歌ちゃんが二人…」

おい。

どんな妄想に浸ってるんだ。

てかそのわきわきしてる手を止めろぉ!

「ほら髪乾かすよ!」

「はっ!この詩歌ちゃんは本物?

 触って確認せねばぁ!」

「近寄るなへんたい!」

私は脱兎の如く襲ってくる詩歌から逃げた。


「ほらドライヤーかけるから動かないで」

「はーい」

やっとのことで逃げた私は、ドライヤーをかけると言うことを口実に、詩歌より優位なポジションへと回った。

ふっふっふ。

詩歌の髪は今や私の好き勝手にできる領域にあるのだぁ。

「ふんふんふーん」

詩歌は楽しそうに鼻歌を歌いながら首を小さく左右に振っている。

やっぱり近くで見るとすごい髪の毛サラサラで綺麗。

黙ってればモデルさんみたいで可愛げがあると言うのに。

「すごぉぃ、詩歌ちゃん上手ぅ」

きゃっきゃと笑いながら詩歌がそう言ってくる。

「はいはい、いいから動かないでね」

「はーい」


お泊まりってすごい楽しい。

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