4月15日(11)
「え、架那ちゃん?」
彼女はひどく狼狽して私を見つめる。
「なら一緒に逃げようよ!」
私は自然とそう言っていた。
まるで何度もこう言ったことがあるかのように。
「神坂さんには死んでほしくない!私の初めてできた友達なんだから!
だから逃げようよ!」
見上げた神坂さんの目には涙が浮かんでいた。
「無理だよ。それにどこへ?」
「無理なんかじゃない!絶対何か助かる方法がある!だから-」
私がそう言い切る前に、キーという甲高い音が聞こえてきたかと思うと、
突然道路を走っていた車が横転して私たちのところへ突っ込んできた。
「危ない!」
なすすべもなくただ立っていた私を神坂さんは突き飛ばした。
私は必死に神坂さんに手を伸ばすも、ただ宙を切るだけだった。
今まで聞いたことのない衝撃音が私を襲った。
地面に倒れた私の視界に飛び込んできたのは、柵を超えて歩道に乗り上げ横転した車と、それを覆うかのような深紅の海だった。
私はそのまま意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます