第150話 二種類の昔の夢

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「オォォォオオ!!」


「グォォォォオォォ!」


どうにかして水に入ろうと海坊主を氷柱で攻撃しながらも突進を繰り返すモンスター、それを阻止するために受け止め押し返す海坊主。


モンスターが海坊主を凍らせようとしたが、体内の海流を表面まで近付け、凍らない様に対処する。


モンスターは海坊主……いや、水の中に神夜を入れてしまえば勝ちだ。一方海坊主は神夜が行った攻撃やその後の片輪達が残した炎での継続ダメージを稼ぐ為に耐え凌げば勝ちだ。


しかし、遅ければ遅いほどいい訳でも早ければ早いほどいい訳でもない。


遅すぎても早すぎても神夜は自分の主人は死んでしまう。


遅すぎると海坊主は常世に戻り、モンスターが水の中に入ってしまい全身に氷柱が生え死ぬだろう。


早すぎると神夜はモンスターの上から落ち水の中に入ってしまい溺れてしまう。最初は海坊主がキャッチすればいいが時間が経てば戻ってしまう為結局溺れてしまう。


それが分かっているため海坊主は受け止め押し返す事しか出来なかった。早ければ早いほどいいのならとっくに倒せている。


そして、海坊主はモンスターを相手にしながらも水の中を探査していた。残りのモンスターは居ないのか、主人の友人が居ないかを。



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神夜は夢を見ていた。二種類の昔の夢を。


統一された日本を、時代が変わった日本を見てもういくさは絶対に起こらないとえ得もいわぬ感情に嬉しさと一抹の悲しさを持った。


新たな家族は普通だった。平均以上の収入が両親にあったが、それは両親が努力したからであった。


特に厳しくも優しくもない。


「やりたい事が有るなら言いなさい。議論してたから許可をだそう」


「コレもアレもソレも考えてみたら不思議なのよ、調べてみたら分かるかもよ」


愛を向けられ育てられた、特殊な高校に入る事を嬉しいともダメだとも言わなかった。


ただ


「面白そうな学校だな」


「面白そうな学校ね」


としか言わなかった。


実際に学校は楽しかった。


よく朝からイチャつくなと言う視線を貰っていた。




百姓の大家族の真ん中として産まれた。

思い出せる最初の記憶は母と父、そして姉と兄に遊ばれている時だ。


そのうち、弟と妹が産まれた。


身体を動かして遊び、棒を振り回し、過ごしていると最初の主にあった。何か思うことがあったのか登用してもらい、刀を貰い鍛錬をした。細かな争いや戦の援軍として向かう事もあった。


そのうち実力が上がっていった。人間では無いものとも戦ったお陰だろう。


それは妖と言うモノだった。


人が消えると言われていた場所や戦場後など、様々な場所に居た。


家族も主によって護られ、そのうち店を出していた。


幸せだった。これからもっと荒れてくるだろうと言われていた世の中でもその時は幸せだった。


藤吉郎と名乗る男と、腕が経つ無口な男。その2人は商人の様な事をしていた。


まさかそこから関わり合いが深くなっていくとは思っていなかった。

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