第145話 手を横に振る
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「武田!」
あいつ!水に!
氷柱が邪魔だな、モンスターもだな。
不意に頭に自分が戦闘している風景が映る。しかし、今の姿では無い。前世の武将だった頃の姿だ。
元亀元年6月、織田信長殿と徳川家康殿の連合軍が浅井長政・朝倉義景連合軍と姉川(滋賀県)を挟んで戦をした時の姿だろう。
胴体は重鎧、脚は中鎧、頭は軽鎧で敵軍と妖戦っている。
突如として何かを呟きながら手を横に振るう。
すると敵が凍りつく消えていく。
これは……、何故忘れていたんだ。
ただこの技は今の技量、Lvでは扱えないが使うしかない。無理をして使うため体力以外が空になり、回復が遅くなる可能性があるがあるが魔力はポーションで無理矢理にでも回復させる事にしよう。
「【神羅流妖幻四季 冬】」
左手の甲を上に向け腕を水平に移動させ円を描き、最後に下へと叩きつけるかの様な勢いで振り下ろす。
周りが凍り始める。
ただ凍っているのでは無く、存在自体が凍っているのだ。
存在が凍る、その場に停滞する。この停滞がポイントだ。
本来どの生物であろうと非生物であろうと停滞する事はない、止まる事はもちろんある。
1番分かりやすい例は時間だ。何かが止まっていたとしても時間は過ぎていく、否応無く過ぎていく。
たがこの技はそこに止めてしまう。
つまり何が起こるかと言うと凍ったモノは全て消え去っていくと言うこと。
時間が止まっている場所は無い、という事は時間は何者も止められないほどスピードと考える事も出来る。そんな超スピードが過ぎていけば肉体も魂も消え去ってさしまう。
そんな超現象を起こした為に、神夜の体力以外を残して全てが空……いや、マイナスになってしまった。
魔力が無くなったと言う事は……そう神夜も水中へと落ちている最中だ。
すぐさま魔力ポーションを飲み干し、魔力だけはと回復を謀る。
水中へ落ちているとは言っても最後に水中に向けて技を撃ったので下にある水はちょうど人が1人、入れる程度の穴が出来上がっている。
味方には攻撃が当たらないようになる魔法はもう常時使用している。その為武田に技が当たっていることは無い、その攻撃が起こした現象は普通に喰らう。
今回はどこまで深く武田が落ちているのかが分からないので深く穴が出来るようにした。なので最悪水の中をゆっくり落ちていたのに、水を消した……なので普通に底まで落ちている可能性がある。つまり落下ダメージを受けているかもしれない。
「武田!」
名前を呼びながら下を目指す。
いない。
下を目指しながら気配察知に神経を集中させる。
頭の中で回り空間が全て映し出される。
「なっ!」
そして気が付いた、今いる場所には何もいない。と言うことを。
しかし、それなら武田は何処へ?
考えを巡らせる。
まだ上には敵が残っているはず、ならまだここはクリアになっていない。先にクリアするべきか?
いや、どっちにしろ魔力が回復仕切ってないから戦闘すべきじゃない。
何処かに抜け穴があったのか?たまたま武田がそこに入ったかもしれない。
勘崎が居れば……答えが完璧に分かるんだが……。
あとは察知できないレベルのモンスターが居てそいつに食べられたか?
有り得る、この水の中にもモンスターは居るはずだ。透明ではなく、気配を消す小型モンスターがいてもおかしくはない。
クソ!どうするべきだ!
魔力ポーションをガブ飲みしながら考え続ける。
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