第129話 地図埋め


「じゃあ、4班に分けて地図埋めを始めよう」


「俺の班と誠の班は中央に向かう。藍那の班が左、赤巫女の班が右に行ってくれ」


「いつも通り危なかったら神夜の帰還符なり、転移なりで帰ってこいよ。ダメならチャットに緊急時のやつを流してくれ」


「18時には帰って来れるようにしろよ、よし!地図埋め開始!」


それぞれの武器を持ち植物だらけの階層にスペースを作りながら進んでいく。


「誠、右か左ならどっちがいい?」


「左貰うよ、神夜は右」


「了解!振るぞ!」


ブゥゥン!


先に引き続き大太刀を持っている。離れろとは言ってあるが、万が一があるといけないので声をかけている。


「あ」


「なんかあったか?誠」


「皆にモンスター出てきたらどんなやつだったか記録していてって言うの忘れてたな」


「言われなくても分かってると思うけどな」


「今回の地図埋めはどのくらいかかるかなー、上からの観測ができないのが辛いな」


他の階層では空からの地図埋め出来ていたが、この階層は同じ植物で覆われている為上からは諦めている。


しかし、この方法が取れないとなるとこの広大な階層の地図埋めは大変時間がかかる。既に日本の国土面積など超えているだろう。


「宮元なんか分析で新たに分かった事あるか?」


「無い。毎回問題があったら何とかして来たが今回は無理かもな……。この植物どうしようも無い」


「トレーニングなんだよな……もはやこの植物切ったりするの」


「確かにトレーニングにはなるな、そのうち鍛錬になりそうだけど」


「俺はそろそろ分身を散らし始める」


「了解、神夜頼む」


「戦国忍術【分身】、晴明式 式神【姿写し】、散!」


良く手で印を結んでいる描写をされるが、それは合っているとも言えなくは無い。印を結ぶのは敵の視線を手に集める為だ。しかし、その印を術式としてもいる。大半の忍者は印を結ばなくてもそれなりに術が展開出来ていたからな、あの頃は。戦国忍術はそんな事に生きていた者達の忍術を全て纏めた物だ。有名な奴で言うと風魔小太郎、服部半蔵、加藤段蔵の忍術が入っている。


晴明式 式神は名前の通り安倍晴明が使っていた陰陽術を使っている。今回はその内の式神を使った。


そうしている内にも俺以外に分身などを出せる人が地図埋めの為に散らし始めていた。


植物によりスキル妨害が起こっているが、分身などの類のスキルのみだけは確実に使えるようにする為に、妨害を俺が阻止している。


俺のスキルの中で妨害を食らうことが無いスキルでな、スキル妨害なんて呪いのようなものだからな。


分身を散らした後も中央を目指して突き進む。


「そろそろ分かれるか、誠!」


「18時には仮拠点戻ってこいよ!後で会おう!なら班員は斜め左に行くよ」


「俺の班員は斜め右に進路変更!誠達気を付けろよ!後で会おう!」


まだまだ中央には程遠いが18時に帰ると言う条件と効率を考えると、そろそろ別れていた方がいいぐらいだろ。


13時に仮拠点を出発、そこから中央へ1時間程走ると今の位置になる。帰りはスピードを上げて帰らないと行けなくなるが、ここから更に2時間程走った場所が今日の折り返しとなる。


走りっぱなしは疲れるなー、大太刀持ってるのも有るだろうけな。


それにしてもモンスターが全く出てこない。まさかこの階層いないのか?

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