第121話 魔道具が頼みの綱


「全然Lv上がんねーなんなんだよこのクソ条件は、絶対魔道具作ってやる」


現在俺達は90階層にまで辿り着いていた。81階層の攻略を始めてから1年が経過しようとしている。階層が上がる度に1階層の大きさは大きくなり、難易度も上がっていった。


武器や防具はもちろん、マジックバックや調理器具などもモンスターから手に入った皮や金属、宝箱から出た物により強化されていった。当然自身のLvやスキルLvなども上がってはいるがまだ100階層攻略には届いていない。


そうして今直面している問題は91階層へと行くための条件が追加された事だ。その条件とは……


『この階層でLvを上げLv190まで上げる』


と言う条件だ。他にもスキルLv条件やモンスター撃破条件などが数個あったがこの条件を見る前にクリアしていたので割愛する。


これを見てなんだ、Lv上げるだけなら簡単じゃん!と思うかもしれないが、そんな簡単では無い。


この階層のモンスターは倒す手順が決まっているものや倒すまでの時間が決まっているものなど面倒なモンスターしかいない。それなのに倒している貰える経験値は強さに見合わないほど少ない。


なのでこうなりゃ経験値獲得増やそうと全員で頑張ってダンジョンのシステムに抗う魔道具を作り出そうとしている最中だ。


その魔道具を作ろうと思い立ったきっかけは時折地上だろうとダンジョンだろうと関係なく倒したら者のLvを1上げるという『至宝の魔物』というものが出現するよになったからだ。


その『至宝の魔物』は他と違い少し煌びやかになっているため分かり易い。


そして今この階層にはその『至宝の魔物』が出てくる頻度が高い。しかし、倒してもLvは上がらず経験値は微々たるもの……なので魔道具を作り、それを使いどうにかして経験値を貰おうと画策しているという訳だ。


しかし、全員でずっと魔道具を作ろうとしていたら魔道具が出来るまで何の成果も無しという悲しい事になるため普通にモンスターを倒している。が、やはり経験値は微々たるものなので全員が魔道具を作るやる気を溢れさせている。


「でも後少しで出来るだろ?」


「何事も無かったらな」


「フラグ止めろ」


モンスターを倒すと言っても拠点から殆ど離れていない。何故なら81階層のボスグルトリスの時のように周期的にモンスターが自らやってくるからだ。


「頻度が酷い、45分に1回って…100階層近くなったら10分に1回とかにならないだろうな」


「俺に凄むなよ、ダンジョンに聞けよ」


「って話してるだけで後40分後くらいにはまた来るぞ……」


「スキル使えば結構すぐ終わるんだからいいだろ?」


「半年後くらいにはダンジョン攻略し終えたいけどなぁ」


「魔道具が作れたら余裕なんじゃないか?」


結局は魔道具が頼みの綱になってしまっている。まだ出来てすらいないのに。


しかし、出来てしまえば劇的にLvが上がり易くなるだろう。


この世界のLv限界が幾つかは知らないが限界まで行くかもしれないな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る