第99話 お願いに来ました


私も混ぜて貰えませんか?って……急に普通の幽霊来たな……


'いいですか?'


別にいいけど……なんかやろうとしてもすぐ倒せそうだからな。


「いいけど」


来た幽霊の外見は王族が着るような豪華な服だったが人前に出る為と言うよりかは、普段を過ごす為のラフな格好だった。


'口に出してもらわなくても大丈夫ですよ、私弱そうなので気楽にしてもらってもいいです'


………おっと?これは……レティナの様な感じだな。


'そうですね、私はグラフェン魔国の王族でしたのでレティシアは可愛い子孫です'


ん?つまりこの王城に来たばかりの時に大司と悠眞の3人で探検していた時に感じた幽霊ぽいのはこいつか?


'違います'


違うのかよ、なんだあんたは。


'私は普通にお墓から来ました'


来るなよ、墓から。アンデットモンスターじゃん。レイスかなんかだな?


'ちょっと気になったので出てきただけです。酷いですね'


うるさい、早く成仏しろ。しょうがないから手伝ってやろう。


'祓う気ですか?こんなにも可愛い幽霊を?最低ですね'


レティナより面倒だな。


'その心の声もレティシアに届いてると思いますよ?'


………本題に入ろう。何をしに来た?


'お願いに来ました'


そんなに大事な事なのか?王様とか頼ればいいだろ。


'あの子じゃ無理です'


あの子って……王様の事か?結構な歳だぞ、あの王様。


王様で無理な頼みを俺に持ってくるなよ。


'コレをダンジョンの最奥まで持って行って下さい'


そう言って渡されたのは陶器のコップだった。


何コレ?


'見ての通りコップです。それ以外に見えますか?'


ちよっとイラッたと来たぞ、やっぱり成仏?しかもダンジョンって何処のダンジョンだよ。


'ダンジョンに行くって言ったのは貴方達なのに……優しくして下さい。可愛い王女様ですよ'


って言うことは【夜話の瞬き】の事を言ってるのか、面倒だな。100層あるし、100層のプラスLvがどのくらいかもわかんないし……広いし……


'受け取ったのでお願いしますね'


おい、待て。


………幽霊の反応が消えて言った。


「あいつ言いたいことだけ言って消えやがった。王様に言ったら依頼とか命令して持っていって貰うだろ。なんで俺に頼むんだよ」


ここに異世界勢が居たら渡すのに……


'ちなみに今日人が来ないのは私があの子に誰も通すなと念を送ったからです'


それ俺だけ通したって言うことだよな。消えたのに何処から声が聞こえたって事は念話みたいにしたな?それが出来るならわざわざ前に出てこなくても良かったろ。


文句を言いながら受け取ってしまった陶器のコップを見る。


暗い青色の高級感が溢れるコップだ。


「コレめっちゃいいコップだろ。入れ物に入れて渡せよ……」


と言いつつマジックバックである仙窟の中へと入れる。神夜は壊れ物を入れる時も有るだろうとそれ専用のマジックバックを作って貰って居たのでそこへと入れる。


ちなみに中はフワフワだらけなので手を入れると気持ちいい。


「景色綺麗だな、後で知夢に頼んでこの景色取り出して貰おうかな。それで物作りチームに頼んだら綺麗な写真見たいのにして額縁に入れて飾ろう」


よし、とりあえず部屋に戻るか……。レティナは多分拗ねてるだろうから部屋には来ないな。小晴と狐子佳は風呂から帰っててないだろうな……。


景色を見納めて帰る為に魔力板へと向かって行く。


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10月くらいまでは毎日更新のような感じになります。時折2日に1回になるかもしれないですがよろしくお願いします。

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