第88話 更に強くなって


シルシを付けたやつの付近に遺体は無しか……ん?そもそもなんでシルシが残ってるんだ?死んだら消えるはずなんだがな。


まぁ、今はいいか。話し合いを続けよう。


《……以上で報告は終わりです》


《うむ、良い務めであった。引き継ぎが終わったらゆっくりと休むように。次の任務はまた今度に言うとする。下がって良い》


《了解しました》


カコン


王様がそう言うと情報を持ってきてくれた人は礼をして扉を開けて出ていった。


「じゃあ、俺達が撤退する羽目になった敵は交奏連邦が召喚した奴らって事でいいな?」


「「「「「いいと思う」」」」」


「神夜にかけた魔法がちゃんと効力を発揮していて安心しましわ。切れていたら大惨事でしたわ……」


1人だけ報告を聞いて安堵の表情を浮かべている人がいる。


「藍那があの魔法かけてなけりゃこんな大規模な事してないな」


「常時かけておいた方がいいのかしら……」


何故そうなる。


それを尻目にしながら先生が話始めた。


「まぁ、1人しか見つからなかったのが気になるが…まぁ、次の報告待ちだな。何処かに仲間の召喚士達は隠れているのかもしれないからな」


「なら先生次はどの話しをするんだ?」


この話は一旦終わりだろうと思ったのか大司が先生に次の話題はなんだと尋ねる。


「そうだな、後は神夜の事、妃芽達の蘇生、強くなる事の3つ程か?次は神夜の事について話し合う」


「分かった。ならまず俺が気になってた事なんだが、神夜の能力って前世でも使ってたのか?」


「使いまくってたな。何しろ戦場に沢山いたから使わないと俺が死んでいた」


「誰に仕えてたんだ?」


「斎藤道三殿だ、道三殿が亡くなってからは織田信長殿に仕えた」


「信長の死後は?」


「日本全国を旅していた。そして家康殿の頼みで関ヶ原の戦いに出陣して、終わった後からは記憶が無い」


我ながら戦場にいすぎだと思ってはいるが……あの時代を生きていた者達の中では普通だった。


「ゆーちゃんは家族は居なかったの?」


「そりゃいたさ。父と母、そして兄、姉、弟、妹の7人家族だった」


「多いなぁ」


「どの家も4人くらいなら子供がいたさ、人手が足りないからな」


「待て待て、お前達。そんな事は後だ。後。まずは前提としてグラインド公少国での破壊跡、交奏連邦へと続く亀裂は神夜がやった事として考える。それを踏まえて確認するがアレは暴走状態になったら出来る事なのか?」


「いや、前世では普通に出来ていた。刀が俺の刀だったらもっと威力が大きかったはずだ」


《コレより更に威力が上がると言うのか……》


ん?なんか王様が写真みたいなのを持ってるな。


「それなんですか?王様」


誠が代表して聞く。


《魔道具で風景を撮り、その撮られた物がこの魔道具に送られてきたのだ》


そう言って写真?を見せてくる。よく見ると街が写っている。


「わぁ、災害が起きた後みたいになってる……」


家が倒壊し、人が辺りに倒れている写真をみてそんな事をこちらを見ながら言ってくる。


《これが亀裂のものかの》


次に見せてくれたのは遥か遠くまで続く地面の亀裂だった。縦は1キロ程、横幅は500メートル程だろうか?深さは深すぎて分からない。


「神夜、お前暴走するなよ」


それが皆の総意だと言わんばかりに神妙な声色で誠が言う。


「分かってる。更に強かなって暴走しないようにする」


そう言うと全員があからさまにホッとした感じになった。


「更に強くなって暴走したらもっと大変な事になるんじゃないの?」


しかし福磨の一言で全員が凍りついた。


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次回は7月4日の予定です

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