第83話 美味しくて止められない!

〈儂もケルンスライムを食べるぞ!〉


そんな事を言いながら開けていた扉から入ってきたのはこの魔国の王だ。どうやらさっきの美味しいスライムはケルンスライムと言うらしい。


ん?ケルンって意味的に山頂とか登山路に石を置いて記念とか道標にするってことだよな?後はドイツの都市か?どっちも当てはまる気がしないな。いや?もしかしてこのスライム高い山じゃないと見つからない?後はケルンと言う言葉の意味がこの世界の物かもしれないな。


まぁ、そんな事はいい。残念だなー、あのスライム全部食べちゃった。全員で食べちゃった。シレッとレティナとか他3名も食べてたしな。


〈御父様、もう皆さんがケルンスライムを食べてしまいました。〉


レティナ……お前も食べてた。


「食べちゃった。見た目はアレだったけど独特な味がして美味しかった」


大鬼は食いすぎな、1人で3人分も食うんじゃない。皆が食べられなくなるからセーブするよ……って言った時点で食いすぎてたんだよ。まぁ、皆食べれたからいいけどな。


〈何のために王公務を終わらせたのだ……〉


落ち込んでるなぁ、王様。今回は仕事終わらせてきたんだ……多分宰相が近くに居たんだろうな。


ん?宰相来たぞ。王様をスルーしてムネトノさんとクルスさんの近くに行って?何するんだ?あ!ケルンスライム食べてる!


「あのスライム取っておくのはズルいだろ!」


一瞬にして全員の視線が宰相に向かう。


〈儂の分は!?〉


「「「「ズルいぞ!」」」」


「「ずるい!」」


1人だけ自分の分を確認してる人がいるな……どんだけ食いたかったんだよ。


〈何してんだ。席着け、夕食の始まりだー!アレ?ケルンスライムは?〉


おっと、料理長が来たのでこれから夕食が始まる。いそいそと全員が席に着くと、美味しそうな料理が運ばれてくる。


「「「「「いただきます」」」」」


うわ!この生姜焼き風のよく分からない肉うまー!ちゃんと生姜ダレの中につけてあったんだろうな。味が染みて上手い!


今回はバイキング形式ではなく、全員同じメニューが運ばれてくる感じだ。数分すると全員に全てのメニューが運ばれて来た。


メニューは生姜焼き風の肉と併せの葉野菜、50gくらいのステーキ、ポテトサラダ的な物、鳥?か何かのダシがいいスープ、そしてパンに果物を沢山入れた物と豪華な食事だ。白ご飯もちゃんとあるぞ。更に全ておかわりもあるぞ。


食材は日本にあったものと似たようなはほぼあった。絶対過去に地球出身の奴らが居たな。


「お前ら食い終わったら話し合いがあるからな。帰るなよ」


そんな事を言うのは俺らの担任教師、真笠戸麟太まさどりんた先生だ。20代後半の渋いイケメンだ。渋すぎて20代後半とは思われない。声は渋くない、声が通るいい声だ。


「「「「はーい」」」」


返事をしたらすぐに食べ始める。先生は言い終えた瞬間からまた食べ始めたらけどな。


〈儂にも1口くれ!なんでダメなんだ!〉


〈なんで止めないんだよ!アレはメインディッシュの1つだぞ!〉


まだケルンスライムの事でなんか言ってるな、俺達が食べ始めた時から王と宰相と料理長でずっと儂も食べたい。あげません。俺も食いたい、なんで止めなかった。などとずっと言い合っている。


レティナとクルスさんとムネトノさんはそれを横目に一緒に席に着いて料理を食べている。止めろよ、誰か。俺は夕食が美味しくて止められない!


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次回は6月25日の予定です


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