第82話 大きな目がついたスライム

「へぇー、なら今宰相の人も昔から宰相候補として左大臣やってたんですか」


食堂に向かう間はずっと左大臣、右大臣が何を普段しているのか、今の宰相の話や、グリスの昔、普段している事などを聞いていた。


後は俺が訓練で六東龍の練習をしていた話などが出てきた。この話を聞いて宰相、右大臣、左大臣、王並びに国の上層部全員が大丈夫だよな?あの子。大丈夫だと願おう。などと思っていた事も聞いた。大丈夫ってなんですか?とムネトノさんに聞くと、これからの事を思ってですよと濁された。解せない。


後ろの女性4人も会話が盛り上がってずっと喋っていたが途中から魔法でもかけたのか声が全く聞こえなくなってしまった。聞こえていた最後の話はレティナの私生活の話だった。公務、公務、公務の大変そうな話だった……しかし、驚く事に頭を使うのは得意らしい。アホの子と言う印象がずっとあった為とても驚いた。驚き過ぎて後ろをパッと振り返るとジトーっと、こっちを見ているレティナと目が合った。すぐに前を向いてムネトノさんとグリスと会話を始めた。


そんなふうにしていると食堂へと着いた。これから夕食だ!時折変な食材が入っているから今日はないといいな!


扉を開けて中へ入る。


じー


………………ん?


右へ、左へと右往左往してみても


じーっと見つめられている。


「なぁ、レティナ。グリス、ムネトノさん。あれ何?」


「どうしたの?ゆーちゃん、なにが……何アレ!?」


「ゆーちゃん何アレ!?」


孤子佳も小晴も俺と同じように驚いたようだ。


その驚いた原因が置いてあるのは扉を開けて中へ入ると真正面に置いてある。高さは人間と同じくらい、横は人が2人は入れるであろう大きさの大きな目がついたスライムのようなものだ。目が合っている気がしたので右往左往してみるとなんと!目がこちらを追いかけてくる!


〈あー、これは……初めて見て食べる方は驚かれますね〉


「「「食べるの!?」」」


どうやらレティナの言い方からするとアレは食べる物らしい。つまり……夕食の1部と言うわけだ。


他のグリスやムネトノさん、クルスさんもあぁ、これ出すのかと言う表情をしている。


「神夜、アレ食べに行ってこいよ」


俺達が入って来たのを見た大司がこちらに来て、そんな事を言う。


「まだ誰も食べ始めて無いだろ。食べ始めたら大司が食って来いよ」


「また倒れたらどうするんだ!」


知らん!いけ!チャレンジャー大司よ!これまで新しい食材を食べること数百回、そのうち8割で倒れた男よ!行くのだ!その勇姿を見してみろ!


〈そんなに怖がらなくて大丈夫ですよ、見た目はアレですが結構美味しいんですよ?なかなか手に入らない食材なんです〉


その言葉が聞こえたのか大鬼がスプーンで掬って食べた。


「うまーぁぁぁ!」


それにつられて全員が食べ始める。おいまだいただきますしてないだろ!パク。うん、美味しい。


味はデザートの部類に入るだろうな。さっぱりした酸っぱさと甘みがちょうどいい感じになってとても食べやすい。とても美味しい。


結局美味しいスライムは夕食が始まる前に全員に食べられる事となった。シレッとレティナもグリスもクルスさんもムネトノさんも一緒に食べていた。


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次回は6月23日の予定です。


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