第74話 全然みえない
孤子佳の膝枕で神夜を寝かしたあと、すぐさま夢による情報を集め始めた。知夢によって起きた事を追体験するような夢が現れる。寝ている人は夢で追体験をしたと言うのを覚えていない様にしている。
「やっと見つけた。データに映しながら見ていく」
そういうとバックに手を入れた。
手を出し神夜をみると知夢は巨大な薄暗い空間をながめているかのようにし始めた。
そこから神夜が1人になるまでをサラッと見て、1人になってからを集中してみる。
見ると言っても知夢の頭の中でしか映像は流れていないので孤子佳は暇だ。暇だからと言って現在の知夢に話しかけても返事は返ってこない。それほど集中しているからだ。
「おかしい」
「どうしたの?」
本来眠らせ夢を見終わると、寝ていた者は起きる。しかし、神夜はまだ起きていない。怪我人達は寝る必要があるのでそのまま寝させている。
「途中からよく分からない事になってる」
「どのあたり?」
「妃芽の蘇生ができないかもって言われた後から」
「そこからゆーちゃん記憶が無いって言ってたよ」
神夜が知夢を尋ねた理由はその記憶が無い時に何をしていたのか、そして何故起きたらあんな場所にいたのかが知りたいからだ。
「今まで鮮明に見えてたのに急にボヤけた感じになってる」
「何かしてるとかは分かるくらい?」
「分からない、頑張ったら少しだけ分かるかもしれない」
何もみえないなら全体がモザイクのようになっているのだろう。
「全然みえない、分かるのは真っ暗で何かが沢山居るって事くらい」
「真っ暗なのはゆーちゃんのアレじゃない?」
「多分そうだろうね」
アレとは常世の事だ。神夜、真っ暗ならまずそれを思い浮かぶ。
「何かが沢山いるって言うのは?」
「何かが大量に光って動いてた。あれ?そういえば目線が神夜にしては少し大きい様な気がする」
「それは分からないなー。目線が高い?」
神夜の身長は177cmくらいのはずだが、目線が少し高いと思うと言うことは180cmくらいなのだろうか。
「いや、気の所為かも。ボヤけてるし、真っ暗だし」
「ゆーちゃんが何か知ってるか聞いてみる?」
「そうしよう。起こすよ」
「分かった」
再び手をバックの中に知夢が入れた。データを撮り終わったから止めたのだろう。
「うぅん、?あぁ、終わったのか」
「おはよう、ゆーちゃん」
「お疲れ様、神夜」
窓から入ってくる光が目に刺さるようだ。
「おはよう、で、どうだった?何か分かったか?」
「孤子佳ちゃんから聞いたけど、貴方が記憶が無いって言ってる場面はよく分からなかった。分かったのは真っ暗で光っている何かが大量にいたって事だけ」
正確に言えばもしかしたらいつもの神夜より身長が高かったかもしれないと言うべきなのかもしれないが確証がないので省くようだ。
「真っ暗なのは常世だろうな、白黒じゃなかったのか?常世は白黒の世界になってるはずだ」
「データ撮ったんだからそれ見せるよ」
そう言ってバックに手を入れ黒く形がよく分からない物を取り出す。
「え、なんそれ」
「それ何?知夢ちゃん」
「これにデータが撮ってあるの、大事だから隠してる」
どうやら元の形や色、大きさが分からないようにしているらしい。
「じゃあ見せるね、頭の中に流れてくるから」
そう言ってから数秒後、頭の中に映像が流れ込んできた。
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次回は5月21日の予定です。
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