第58話 中央寄れや

「よくもニマを!」


「だから、よくもニマをじゃねぇんだよ!お前らがこっちの仲間何人殺してると思ってんだ!」


完全に怒りで視野が狭まってるな、馬鹿が。まぁ、ちょうどいいが。


まず、十分に距離が狭まったら常闇残滓を出す、俺の足元に一個、相手の足元に一個、その周りに六個展開。踏んだら逃げる事は難しい。


「っ!なんだこれ!身体が」


「じゃあな、お前の罪が軽かったらまた会えるだろう。死は救済とは言えないとは言っておこう」


声にならない叫びをあげている男に一般的に燕返しと言われて居る技の一種を撃つ。


黄泉返しよみがえり


よし、倒したな。なんだか呆気ないが戦闘中に冷静さが無くなればこんなもんだろう。


それと今の状態なんか気持ち悪いんだよな、罪無き人を殺さないようによって藍那に魔法付与されているから斬った感触は有るのに首も何も斬れてないんだよな。まぁ、刀が血や脂で汚れないからいいけどな。


ん?そういえばさっき血振りしたが……まぁ、前世でしてたから無意識にしたのか。


「さっきまた化け物を見るような目をあいつもしてたな、なんでか分かんねぇんだよなー、まぁ、とりあえず先を急ぐか」


そんな事を少し考えた後に刀を納刀してダッシュで先に進むと見せかけて死んでたら記憶が読み取れる事を思い出して戻る。


つまり、ただ記憶を読み取る事を忘れて先に行こうとしただけだ。


「忘れてた、記憶読むんだった。さて死んでるかなぁ?あ?なんだ半死半生?妃芽達に残虐な事をしておいてこれか。藍那に文句を言う必要があるみたいだな」


とりあえず読み取る、しかし半分しか死んでいない為に記憶があまり読み取れない。完全に死んでいたとしても今の神夜の熟練度等の理由であまり読み取れない事には変わりは無いだろうが……それでもこの状態の時よりは多く読み取れるただろう。


「名前とか別にいいんだよ、死に逝く者の名など知らん。弱いし」


弱い事は関係ないと思うがそんな事を気にせずに読み取った情報を確認する。


「この世界に似たゲームから転移したのか……それでその世界観のゲームでは魔国は本当の意味での魔国で悪の国だったのか。うーん、色々と怪しくなって来たな。この世界はどうなっているんだ?」


ニマと呼ばれた女も本名ではなくゲームで使っていた名前らしい。そんな事はどうでもいいんだがそれより驚いた事があった。


「マジかよ笑、このゲームアイツらのクラス全員やってたの?ゲーム学校か?これ以外は読み取れねー。行くか」


ゲーム内から転移した奴らも居ると分かっただけでも御の字だ。すぐに神夜の脳内では様々な考えが巡る、ゲーム内からの転移があるならばさらに別の異世界からの転移者も居るかも知れない。


一番面倒なのは俺達自身がもう一人以上いるかもしれない可能性だ。パラレルワールドと言うものがある、もしそこからも転移させられたなら同じ人が違う場所にも居たりする。


その場合はこちらの技も何もかもがほぼ同じだった場合勝つのは難しい。それは相手も同じだろうがな!なんせ同じ人なんだからな。


止まって考え事している暇なんて無いとハッと気が付いた後に急いで先に進もうと動き出す。道中は曲がったり、転移したり、急に90度上行ったり、下に行ったりしたがそんな通路を進むこと数十分で最奥まで到達したようだ。人が沢山居る気配がする。


道中急に曲がる通路で壁を走ったり上や下に行くところで薄い黒色の竜巻見たいのがあったので入って見たらエレベーターだったりとしたが罠や部屋に飛んで誰かと戦う事も無く道なりに唯り着いた、もしかしたら誘い込まれた可能性もあるが…どうしようも無い、他の選択肢は帰るしかなかったらからだ。しかも退路を潰したから力業で風穴を開けるしかない。


そんな事を思いながら部屋に入ってすぐに話しかける。


「お前らが今回の主犯共だな、とりあえずいっぺん死ぬか?」


クラスメイト全員がゲームでの戦闘経験者か…それにしてはあの男女弱くなかったか?始めたてだったら嬉しいんだけどなー。


「悪にも仲間愛があると言うのが驚きだよ、非情な奴らばかりと思っていたからね」


なんだあのメガネ、黙っとけ、というか喋るなら中央寄れや、なんで端っこで喋るんだよ。


「非情なのはお前らじゃないか?雑魚二人を見殺しにして三人拷問やら強姦やらで殺しといてそれないだろ?ここはゲームじゃないんだぞ?愚者共」


おお、そんなに睨むなって、攻撃してこないなら喋ろうぜ〜そしてそこで情報を言え。それが理想。

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