第56話 面倒な能力
(話し合いはもう無理だろう、諦めるしか無いな。さて、今世で初めての敵との対人戦だ。気を引き締めて行こう)
まず相手の能力が知りたい、能力が分からないと対処が出来ないからな。まずは避けに専念して能力を見極めよう。
現在俺がいる場所は入ってきたままの場所ではなく少し入口より離れた所にいる。敵と認識した男女二人とは50mくらいは離れておく。
この部屋の入口から離れた理由は後ろから敵がさらに来てすぐ攻撃されないようにする為だ。
眼は敵2人を捉えつつ、構えは中段で少し左に重心を傾けた状態、足と足の感覚を肩幅より少し大きいくらいにしておく、出来るならどちらかの足を前にして居たいのだが相手の攻撃が分からないので出した足と逆の方向から攻撃が来るとしたら避けずらくなるのでダメだ。重心移動くらいなら罠にもなるし、体幹でどうにかなる。
基本的に今相手の攻撃を見ること無く倒すとしたら常闇残滓を活用するしかない。しかし常闇残滓はそこまで大きくない、そして数を多く出せる訳じゃない。せいぜい十数個が限界だろう。今は。
さて、さっきから双方睨み合いを続けている訳だが不利と言えるのは俺の方だろう。あからさまに使うと思う刀を構えているのに対して敵二人は得物を持っていない。なら魔法よりの職なのかと思えば一人は金属や小刀を飛ばして攻撃してきたから魔法は使いないのかもしれない。しかし、牽制程度としても威力がなかなかあった。そうなればアサシンや狩人などの弓や狙い撃ちなどが得意な職なのか?
二人とも遠距離型だとしたら近距離の刀は間合いに入れば俺はか勝てる自信がある。しかし、俺らのように遠距離職でも近距離戦がある程度は出来るようにしているならば二対一の為こちらが不利だ。ステは高いがもしかしたら他の転移者達も同じようなステなのかもしれない、そうなればさらに俺が不利だ。
少し煽ってみるか、攻撃してきたら容赦なく斬る。
「どうした?攻撃はしてこないのか?考える事を辞めた正義だと考える愚者達よ」
「いいぜ、せっかく先手を譲ってやったのによ」
「そうね、それじゃあ遠慮なく!」
来るのか、神経を尖らせろ!
「愚者はお前らだろ!」
「私らが正しいのよ!」
そういった直後に目の前に現れた敵の男、持っている得物は槍のようだ。
槍を前に突き出している状態での転移、距離を縮める為に突き出している槍を左から右へといなす。そのまま左足を捻って右のかかとで今回は槍を右に飛ばすように力を込める。その間に刀の持ち方を逆にする。所謂逆手持ちと言う奴だ、刃が着いて居る方が自分に来ないように持ちそれを相手の顎に当てるように動く。
キイィィン!
「コード獣、フェーズ1!バトルウッキー!」
「ぐは!」
なんだ!?くそっ、かかとで槍を飛ばす前に横側から何かに攻撃されて逆に俺がダメージ喰らってさらに飛ばされたな。
「サル?あの女か、面倒な!」
飛ばされた距離は数メートルだがそこから周りを見る為に自分で後ろにさらに下がり距離をとる。
獣を召喚する召喚士か?あの女
「面倒な能力だな〜、お前らに時間かけてる暇はないんだよ」
まだ先には敵が沢山居るだろう。そして王城に居る皆も心配だ。さっきあいつが言ったお前が愚者だろと言われた理由も気になる。
アイツらが召喚された国に洗脳なり脅迫なりされているのか、本当に俺達を召喚したあの国が悪いのか分かんないからな。確かにあの国は魔国で他の国より全体のステが強い、そして他の国に比べると人口は少ない。まぁ、国の大きさが他の国より小さいからという理由もあるかもしれないがそれを考慮しないで考えると俺達の世界のラノベで出てくる魔族がピッタリ合うんだよな。その本によっては魔族が悪だったり、悪ではなかったりするが魔王に与する種族と言う考えが一般的なのかもしれない。そう考えると本当にこちらが愚者のように感じる。
「なんだ?威勢だけだったのか?一人で突っ込んで来るからどんだけ自分に自信があるのかと思ったけど、そこまで強くないのか?」
「群れて来たってさっきの奴らの二の舞でしょうけどね、カッコいい子いたなー勇者って言われてたっけ?うちらの勇者とはまた違う感じがしたなー」
アイツらになんかしたのはやっぱりこいつらもで間違いは無さそうだな。でもおかしいな、こいつら程度であんな怪我はしない筈だ。奥に強い奴がいるのか?
まぁ、いいさ。先にこいつらを片付けて倒しに行けばいいだけの話だ。
戦闘の仕切り直しと行こうか、分析は全然出来ていないが攻めるしか無さそうだな。槍男から倒すかなんか猿召喚した女から倒すかだな。槍男は後にするか、槍使いのやつなら前世で呆れるほど戦ったからすぐに結局が着くだろう。
そんな奴よりは、不確定要素の強い方を常闇残滓を使って先に倒した方が言いに決まってる。竜とか呼ばれても困るからな。
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