第53話 常世に覆われた国・参

屋根を走り、道を走り、屋根を走り、隙間道に落ち、余所見をして壁にぶつかりながら何とか数十箇所とある地下へと入口の内、正解の入口へとやって来た神夜。


そして地下へと入ろうとしてある事に気が付いた。


「地下は常世になってないな?なんでだ?」


記憶として使っていたとしても今世では長年使っていなかったら感覚を忘れるのは当たり前だ。転生してから本格的に常世を使ったのは今回が初なのだから……。そしてそのお陰で疑問が1つ解決され、疑問が1つ上昇した。


「なるほどな、だから地下の奴らはあんなに動けたのか。そうなると……誰か逃げてたりしないか?大丈夫かぁー?」


まず常世と常闇などを整理しておこう。


まず神夜が使えるのが常世、その下のランクを常闇と言う。常世は大妖怪だろうと使う事が出来ないとんでもない世界の事だよ!地獄とは違う地獄でも地獄とは言わない……と言うあやふやな感じの世界の事だ。


簡単に言えばなんかすごい奴しか使えないやばい世界と言う感じだ。本来は常世を使う存在は自身にデバフ等が無いはずなんだけど神夜は何故かデバフがかかっている。


そして常闇は少し強い妖怪が使える事が出来る世界の事。範囲は常世に比べて遥かに小さい、常世はほぼ大きさの概念は無い。しかし、常闇には広さの上限が有る。後は常闇残滓と呼ばれる黒い靄が有るのだがこれはどのの妖怪でも使えるもので半径1mくらいの怪しいこの世ではない気配がする黒いモヤを伴う円が出てくる。


地上にしか常世が展開出来ていない事に気付き、地下の気配を探ってみると。


「これ今の俺より強い奴が居るな、どういう事だよ……あの国の人はステが他より高いんだろ?それでも俺達の方が初期ステが高くてその中ですら俺のステは二回りも高かったのに俺より強い奴がいる?」


疑問は当然だ、常世を使い誰かを殺さず経験値が入ってない時の神夜ならばステが低かったので神夜より強い奴がいるのは不思議ではなかった。


しかしステが爆上がりしている現在で何人も強い奴がいるとすれば……それはおかしい、説明されたのと少し違う。本に書いてある事も少し違うと言う事になる。


つまり……?あの魔国の王は白では無くて黒だったのか?あの国が裏ボスのようなものだったのか?その考えがあっていたとしたら今王城に居る全員が危ないと言う事に……?半数以上は戦えない状態だぞ?しかも武器の指導をしていたのはあの国に居奴等だ、武器の振り方攻撃の癖などは分かっているだろう。


「チッ、面倒な事になって来たな。真の敵は味方とも言うからな、ステの確認をして地下にも常世が展開出来るか確かめてから先を急ごう。急がば回れだ落ち着いていけ」


side地下に居る者達


〈おや?止まりましたね、もしや地上のような世界になっていない為に戸惑っている?〉


「戸惑ってるだろうな、あの世界で動いてここまで来れたって事はあいつを殺せば外部と連絡が取れそうだな」


〈そうですねぇ、それにしてもよく来る気になりましたねぇ、仲間があんにもやられていたと言うのに……〉


〈あいつの方が適合するかもしれない、生け捕りにしろよ〉


〈それはもちろんでス、アハススス!」


地下に響き渡る幾人もの不気味な笑い声、この地下に何があるのか、何が起こるのか、勝つのは誰なのか……その答えは今解明される……。

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