第50話 幻想的な風景

何故だ?何故三人は死ぬ事になった?異世界に喚ばれたから?弱かったから?違うだろ、一番は人間の醜さだ。邪魔は削除しないと、駆逐しないと邪魔な奴は!この世界はそれがやりやすいんだろ?


真っ暗でモノクロ世界の常世がグラインド公小国を包み覆い隠して逝く、常世と普通の世界の境界線は光の反射がおかしくなったのか歪んだり、闇が揺蕩うのが分かる。


「そうだったな、常世は広い方専用なんだ。狭いなら常闇を出すべきだったのか……なんでこんな事忘れてたんだろうな。全部覚えてると思ったんだけどな」


最後にもっと早くに思い出して入れば俺のステはもっと高く、そして早く助けられたのかもしれないな……とそう呟くと辺りを見渡す。


そこにはある意味幻想的な風景と呼べる風景が広がっていた。彼岸花を初めてとしてクロユリ、桃の花、白詰草など百花繚乱と言うべき風景が広がっていた。その百花繚乱とも言うべき花達は色付きの花は赤くなっていき白い花は変わらずに咲いていが色が完全に赤と白に分かれるとフワリと消えて無くなってしまった。


「気持ちの表現だったのか?色が変わったらダメじゃないか?ま、綺麗だったから良いか。さてちゃんと払ってもうぞ命以上のものでな」


常世の主、それは地獄に近くて遠い死者の世。そこの王とも言うべき者だ。死が救済だとは思わない方がいい、その言葉は前世で言われ続け言い続けた言葉。


「結構な人数居るな、動ける者もいる……か。腕が落ちたな、何もかも…また救えなかった」


そう呟くと辺りで倒れている者達の首を斬って行く、戦国時代を生きた習慣なのだろうか?誰を殺したか誰が居なくなったのかを伝えやすくする為の行動は。


しかし、本当に首が斬れた訳では無い。何度も言うが罪を犯してない者、小さい罪、反省した罪を持つものは死ぬ事は無いがそれなりの事が起きるようにはなっている。


「取り敢えず先に三人のケアを最優先しよう」


念話石を使って王城に居る仲間に連絡をする、三人の遺体と魂保管庫を俺に送ってくれと言うと。


「神夜!?なんでお前今何処に居る!?何があったんだ!」


「うるさい、そんなの事後だ、早く送れ。早く!」


怒気を込めて言うと少し落ち着いたのか送られて来た。最後に念話で色々書いたメモが身体に入って有るからと言うと王城組の方から念話を切った。会話していた者が倒れかけたのは言うまでも無いだろう。


三人の遺体と魂保管庫を取り出し並べると三人の身体を改めて見る。妃芽の身体もそうだが最初見た時よりは綺麗になっている、回復魔法などを使ったのだろう。四肢もちゃんとついている。


ただ緒川の服は半分焦げてるか無くなっている、小鳥は半分異形になっているし、妃芽は骨がまだちょっとおかしいな……それを治す為に送って貰ったんだけどな。魂保管庫にある魂をから身体の情報を汲み取り身体を治していく、その間神夜の周りはキラキラと光っておりまるでそこにだけ宇宙があるかのような幻想的な風景になっているた。これが常世の中ではないのなら感動する者が大勢いるだろう。


しっかりと脳の情報も合わせていく、身体だけ治しても脳が治ってないと思ってたら麻痺みたいに動かないからな。


それから集中して治し終わるまで数十分、終わった後には少し汗が出ていた。


「はー、疲れたー。何処かミスったら大変な事になるからな、はぁー疲れたーさて次はこれをやった国と人をどうにかするかだな」


三人の遺体と魂保管庫を送り返すと冷えたタオルを取り出して拭けるところを拭いてスッキリしてから動き出す。のんびりしていても問題は無い、動ける者が居ると言っても常世から出れる訳じゃない。ここの主は俺だ。

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