第43話 2班に分かれる

「まずは2班に分けよう」


何者かに転移させられた妃芽達3人を助けるべく即王城へと帰ってきた。奥に進んで帰る方が階層数的にも早かったか強行突破すべきなのはここでは無い、怪我人が出るかも知れないし死者が出るかも知れない。


それなら道が分かってるけど階層数的に多くてもそちらを選ぶだろう。


そして帰ってきたらまず王様に報告、後は救援として人を借りた。今は最悪の事態を考えて転移した3人が死んでも助けれる様に魔道具を作る班を作り。


何処に転移したのか、この氷の結晶の様なものは転移だけなのか、転移は1回限りなのかを調査する班の2つ分けた。


俺がいるのは前者の方だ。死は俺の能力と近しいからだ。


「なら魂と自身の身体が有れば何とかなるんですか?」


〈恐らく出来るだろう、最悪は人体錬成もしくは人造人間を作るしかないだろう〉


「錬金術で人体錬成出来るのか?」


「分からない、身体が持っていかれたりはしないだろうけど、そもそもまだ僕達のLvや技術で作れるとは思わない」


「チッ、まじか。俺達の服は破かれたり、消されたりはしないよな?」


「それも分からないよ、確かに僕達の服は改造もしたから無理矢理脱がせたりとかされないと思う」


無理矢理脱がせないって事は破かれたり、魔法か何かで消されたりはされない方が高いって事だな?


「顔とか手足をやられる可能性はあると思うよ」


「助けが呼べなかったって事は沈黙とかになってたのかもな」


〈ここか、持ってきたぞ。これが触媒にする物だ〉


「ありがとうございます、ちょっと重いな」


「バック経由なら問題ないだろう、取出す必要は無い」


そう言いながら物作りチームを筆頭に魔道具を作り上げていく。触媒にしたのは球状に加工された鉱石、名をライト鉱石と言う。魔法触媒になりやすく、頑丈な鉱石だ。しかしそう簡単に手に出来るものでは無い、産出量が圧倒的に低い物だからだ。


珠樹たまきこれにさっき神夜が作った符に込めて貰った魔法術式を付与してくれ」


「了解、神夜は付与している時に魔力でライト鉱石を覆ってくれ」


「分かった、どのくらいの魔力だ?」


「全体が覆える位で良い、常世の力を意識して魔力を出してくれよ」


更に同時作業でバックの改良、念話もしくは声を録音して妃芽達に言葉を伝える事が出来るものの製作をしている。


バックは3人とも鍵を外しているので大丈夫だが物が送られた、または取られたって言うのはログを見る事でしか分からないからそれを知覚出来るように改造、そしてバックの中で任意で魔道具が使用出来るようにしないと行けない。


そして1番、いや根本的に大事なのは使える事だ。魔道具だから多かれ少なかれ魔力を消費する。もしかすると3人は魔力が使えないor封じられている事があるかも知れないので魔力を使用せず使用出来ないといけない。3人が魔力をしようすると敵にバレるかもしれないので先に魔力を魔道具に与えてしまう。


そして今回は敵が使えないように魔力を登録するので妃芽達3人の魔力を与えないといけない。しかし、妃芽達が魔力を込めれるはずがない。


そこで狐子佳の出番だ、狐子佳の能力は幻術等の使用が出来る、流石名前に狐が着くだけのことはある。幻術を持ちいて妃芽達の魔力に近付ける。すると妃芽達は魔道具をすぐに使用出来るようになる。


「狐子佳を呼んでくる」


「「「「了解」」」」


1分1秒を争うだろう、歩いていいわけが無い。


「ここか!狐子佳は居るか!?」


「あ、さっき包帯巻かれてたけど勘崎かんざき君がそろそろ神夜に呼ばれるから行った方がいいって言われてそっちに向かったけど」


「ん?分かった、ありがとな!」


あ、いた!ん?なんで包帯巻かれてたんだ?もしかしてドジで転けたりしたのか?はぁ、治らないよなぁ。そこが可愛い所なんだけどな。


「あ!ゆーちゃん!3人の魔力に合わせといたよ!」


「あ、うん。ありがとうな?なんでミイラ男みたいになってんだ?」


「ミイラ女だし!」


そこかよ、どんだけ巻かれてんだ。


ちなみに狐子佳が包帯を巻かれていた理由は触媒の氷の様な物から氷の針が飛んで怪我をしたかららしい。でもそれは腕だけなので回復担当がちょっと巻きすぎただけなんだと。回復担当……ちょっと落ち着けって……。巻きすぎたのレベルじゃないよ。これは。

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