第18話 ダンジョン鍛錬の朝

朝のせせらぎは気分が良い、だが良くない時も偶にはある。今日は良いなのだろう、朝の日差しが気持ちよく鳥の鳴き声、川の水の流れる音がする。木漏れ日もいい感じだ。和む、とでも言うのだろうか?でも心の何処かで拒否している、何かが拒否をしている。人間の……いや、誰かであるもの達の心は複雑だ。


待て、木漏れ日も川の水の音もおかしい。木なんて部屋にあるはずが無い、川だってそうだ。


「ここは何処だ、記憶に無い」


そう呟くのは必然だろう、神夜は行ったことが無いのだから。


「気配はすれど形は無い」


それは神夜も同じ、全てが見えて何も見えない。


「また来るのだろう


そう言って消えた。全てが



「ゆーちゃん、おはよう」


「先に起きていたのか小晴」


他の2人はまだ寝ている、だから起き上がれない。特に妃芽が起きないと起き上がれない、上に乗ってるから。


「まだ時間はあるだろうからまだこのままで居ようね」


腕が小晴の胸へと持っていかれる、既に反対側の腕は狐子佳が寝ながら抱いている。


俺はこんな感じだっただろうか?よく分からないな口調が安定していなかもしれないがそれもまた俺と言う事なんだろう。前世の口調が出てくるかもな。まぁ、とりあえず今日からダンジョンだ、気を引き締めて行こう。


「そうだな、後1時間くらいなら大丈夫そうだな」


「そんなにこのままで良いんだ?嬉しい」


何か不思議な気分だ、心は複雑なもの、生きているもの全ては複雑なんだと思った。


そう思っている間にも時は流れ1時間が過ぎた。特に会話は無い、2人は寝ているし喋る気分では無かったからだ。


「そろそろ起きよう」


「そうだね、2人を起こさないと」


寝起きが良い悪いのどちらの人も思うのであろう、朝かーと良く寝たーのどちらかが多いんじゃないか?ちなみに俺は朝かー派だ。


「今日からダンジョンだぞ、服も貰ってるんだから着替えて朝ご飯食べに行くぞ」


「おはようーゆーちゃん」


「おはーよーちゃん」


狐子佳は寝起きが悪い方なのかも知れないな、一緒に寝たのなんか初めてだから知らないけど。


その後顔を洗って口をゆすいで、着替えてご飯へと向かった。因みに貰った服は完略者全員同じ、つまりはクラスメイトも先生も同じデザインで統一されている。唯一違うなら色が好みで違うと言う所だ。服の素材はスライムなど魔物由来の糸で出来ている。デザインは普通のTシャツと同じ様に着るのだが前側が着物の様にズレている、男子が左が下の右が上、女子は左が上の右が下だ。そして正面から見ると✕の様になっている、パッと見は日本等で売ってる服と同じ材料を使っている感じがするがスライムだからなのか光を少し反射して光沢がある様に思える。一見防御面が不安に思えるが魔力で強化されており防御面は問題ない。そして色は好みで違うと言ったが例えば俺は黒と緑の服になっている、服の色ベースが緑、✕等の場所が黒という色合いだ。そして全員服の縁は白となっている。小晴、妃芽、狐子佳は俺の真似をしてなのか✕等の場所は黒で服のベースの色はそれぞれ薄青、黄、赤色となっている。


飯を食べたらダンジョンだ!ダンジョンは広いらしいから先生も含めクラス全員と付き人の計50人で行く事になっている。階層は100以上!難易度ノーマル!

100層あるのにノーマルかよ!他の国では絶対ノーマルではないと誰もが思っている。それか初心者用100層ダンジョンか?クリアしたら中級者中盤くらいまで行きそうな気もするぞ?

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