冒険者
現れたのは四人の男性。恰幅の良い男性と無精髭の中年。ローブの杖を持つ若そうなフードを被った少年に、動きやすそうな軽装の男性。私を見て目を丸める四人は、ウルフの亡骸を見て又私を見た。
「これは君がやったのかい?」
そう声を掛けて来たのは無償髭の中年男。辺りを見渡し仲間を見て話す所から見てリーダーなのかな?その言葉に私は頷いた。
「これは、君自身ではないですね?」
恰幅の良い男性で豪快そうだと思ったけど紳士っぽい。
「俺、魔物だと思ったんだけど?」
「合ってる。魔物がやったよ。」
「はぁ?でも今お前がやったって頷いたじゃん。」
盗賊っぽい軽装な見た目通りの男だった。口が悪いけど、子供っぽい。
「この子がやったから。」
そう腕に抱き締めるハティルを持ち上げた。
「こいつがか?」
「そう。」
私の言葉にハティルに注目が行く。本当の事なんだし嘘は言ってないもんね。
「ウルフか?」
「ウルフの子がウルフを倒す事はあり得ませんね。」
「子供でも変異種ならあり得るんじゃないか?」
「ん~それでも子供だろ?」
そう話す三人だったが一人、フードを被った少年はずっとハティルを見続けていた。
「君、
口を開いた少年。初めて聞いた声は透き通って、無口なんだね。前まではそうだったんだけど進化したしどうしよう。正直に言うのもね何か駄目な気がする。
「そんな感じです。」
「この子、ウルフ違う?」
「分かるんですか?」
「魔法使いだから、魔力量が分かる。この子凄く多い。」
《分かるか魔法使いよ!後ろの者達よ、我をウルフと同じにするな。主の従魔である以上、ウルフに間違われるのは嫌だ!》
三人に愚痴愚痴言いながら、魔法使いの言葉に頷くハティル。魔法使いってそういう事も出来るんだ。魔力量とか見て相手との力量とか把握するのかな。
「じゃあこいつ何?」
そう聞く軽装男に考え込みんだ魔法使い。
「フェンリル?」
その言葉に三人は声を失い一瞬沈黙が流れた。
「いやいや、フェンリルとか神話級だろ?絶対無い。」
「私もそう思います。ウルフでは無くてもその上位種ぐらいではないですか?
「神獣のフェンリルをこんな餓鬼が使役出来る別けないだろ。」
私、馬鹿にされてる!?私がハティルを使役出来ないって?何、餓鬼って、子供だからって無理とか決めつけたら駄目だからね。この冒険者に負ける気がしない。こんな人に下に見られるのは嫌かな。子供の見た目だから仕方無いけど。
ギリッと握り締めた拳を我慢して、魔法使いさんには凄いと内心褒めていた。優秀さんだね!
「‥‥そう、かな?」
「そうですよ。」
「こんな餓鬼に無理無理。」
「大丈夫、
ねぇ、リーダー。間違ってる時点で慰めにもなってないよ!ハティルは立派はフェンリルなの!しかも
《魔法使いもう少し主張しろ!我はフェンリルなんだ!!》
そう言ってるハティルだけど、ごめんね、伝えないよ。話聞いてる限り
それよりも、ますば。
「ハティル、盗賊っぽい男噛んでいいよ。てか噛んで。餓鬼って凄い馬鹿にされてムカついたの。」
《我も腹が立っていました!任してください!》
そう腕から離すと、走り出すハティル。
「えっ、はぁ!?嘘だろ!?てか、何、こいつに噛まれたらたぶん俺死ぬよな!?」
そう走り出す盗賊男。逃げる男に追うハティルの姿を見て気分はスッキリする。
「ハティル、殺したら駄目だよ。」
《御意。》
「いや、てか止めて!すまん、謝るから止めて!!」
そう走り回る男に仕方無く止めて上げた私。これを機に子供だろうと馬鹿にしないように学習出来たね。又下に見たら痛い目合うよ。小さな見た目なので睨み付けても無駄だろうとにっこり笑ってあげたら震える盗賊男。
「何か怖いんだけど?」
見た目が子供の私が?うふふ、可愛いでしょ。
「怖いわー。」
「女子は幼子でも怖いのですよ。ちゃんと言葉遣いを改めて下さいね。」
「うっ‥」
あれ、改めないつもりなの?
「ハティ」
「頑張って、みる。」
「‥‥みる?」
「精進します!」
うん、許してまげます。作り笑いを止めて笑って許した。ハティルはもっと遊びたかったみたいで尻尾が垂れ下がってるけどね。
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