第14話 ?聖?④

はい。答え合わせ。?聖? は剣聖でした!

でも……まだ、聖女の線も消えてない???

では、本日は5話編成の4話目になります。

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「さてと、剣聖ではなさそうだけど剣聖に似ている魔力紋が出ているってことはあっちの世界のやつで間違いはなさそうだってことで良いんだよな?」


 どうして俺の近くにばっかりそんなのが来るんだか……他にも来ているけど知らないだけって可能性もあるけどな。それにしたってよ……


「どのみち異世界を何らかの方法で渡ってきたのだから手練てだれと言っても良いかもしれませんよ?」


「おびき出して捕まえちゃえば良いんじゃないの?」

「エレンってさ、どんどん勇者ってらしさを失っていっている気がすんだけど、それでいいんか?」


「え~、だってもうわたしは勇者じゃないし、いまは洋一のかわいいかわいい妻ですもの」

「わ、わたくしだって魔王ではありませんよ! 洋一様の妻でしゅ……」


 どうしよう。二人が可愛すぎて作戦がまったく前に進まない。



 …………。

 ………。

 ……。



「ということで、捕縛作戦開始となりましたがナイマさんや。いったい俺は何をすれば良いんだ?」


 三連休初日の土曜日の午後。


 影でコソコソと悪さをしている剣聖っぽい誰かをとっ捕まえるために某所にて作戦行動を開始した。

 因みに捕縛用の魔法を使えないエレンはほぞを噛みながら後方支援に徹している、はず。そうだよね?? 今はたぶん遠くの方で監視の任務を遂行している……といいな。


「先ずはですね……魔力をください」

「? 魔力を、ください? って、なに?」




 土曜の午後の真っ昼間からラブホってどうよ? なんて思ってたんだけど八割方のお部屋は使用中って……みんなお盛んだね⁉


 ピカっていうの無しでも体力がついたせいなのか三回戦までなんとかかんとか……魔力的には二回半程度らしいけどナイマ的には十分だそうです。はい。ボクガンバリマシタ!


 なにげにナイマと二人きりっていうのは今日が初めてだったりする。エレンには我慢をさせてしまっているんだと思うと申し訳ない気もしたりするが……

 ま、エレンはまた今度思いっきり甘えさせてやればいいよな? たまには各々俺を独占させてやるのも良いかもしれんな……って俺って何様だよ、な発言ですね⁉


 ホテルから出て人気ひとけのないところに差し掛かったところで何者かが俺たちの行く手を遮ってきた。


「おのれぇぇぇぇ!! 魔王と結託した貴様‼ 勇者様……エレンお姉さまを返しなさいっ」


 ? エレンお姉さま? あいつに妹なんている話は聞いたことねえけどな。


 エレンのボコボコ鎧と違ってピカピカに輝いているプレートメイルにこれまたピカピカでよく切れそうな剣を中段に構えている。コイツの殺気だけでおしっこ漏れそう……


「洋一様。後ろに下がってください。やはり剣聖バビでした……しかしなぜ? ううん、そんなことは後です!」



 相手の実力ってものもあるのか俺んときみたいに簡単にバインド魔法が仕掛けられない様子。しかも相手はやはり件の剣聖で今にも手にした剣を振り落としてきそう……もはや俺の命もこれまでか?


 最後になるなら、やはりエレンも含めて三人でシたかったな……



 ひゅっ! ドゴン!!!! ずざざざざ!!!!



 目の端から鈍色にびいろの塊がもの凄く勢いで飛んできて、剣聖が彼方まで吹っ飛んでいった。


 土煙が消えると、地面には大きな溝ができていて十数メートル先に剣聖が犬神家の一族のあのシーンよろしくな格好で地面に刺さっている。


 そして俺の目の前には、これまた全身ミスリルメイルに身を固めたエレンが仁王立ちしている。


「貴様!!!!!! 洋一に危害を加えようとは許しがたき所業! いま直ぐその身を粉々にしてやるっ」


「エレン! 洋一様には今できうる最上級の防御魔法を施しました! 安心して剣聖をすり潰してください」


 いや……粉々とかすり潰してとか穏やかじゃなさすぎじゃないですかね?


「「洋一(様)に害をなすものは徹底的に排除すべき!!!!」」


「あ、はい……ありがとうございます⁉ でも、あいつをぺしゃんこにする前に捕まえていろいろ聞いた方が良いんじゃないかな? あれって、もしかしたらエレンの妹分でしょ?」


「まあ、確かに……。リオちゃん……にしては歳を取っているみたいだし……でも面影はあるのよね」

「取り敢えず捕縛しますね。バインド!」




 中古の軽自動車の後部座席に剣聖らしき塊を放り込んだら自宅に向かう。


「あれ、死んでないよな?」

「リオちゃんだったらあれくらいじゃ死なないよ! へーきへーき」

「洋一様、早く帰りたいです……この娘も魔力全然なくて、バインドの維持にわたくしの魔力が使われていて……も、もう枯渇しそうです~」



 なんとかナイマの魔力が枯渇する直前に自宅に到着する。

 担ぎこんだ剣聖をそこら辺に放り投げ捨てたら、エレンとナイマで俺の取り合い……ちゅっちゅチュバチュバと唇と舌が取れるんじゃないか心配です。もちろん俺のですよ? 吸引力の衰えない二人です、はい。


 最低限の魔力を補充したら、尋問が開始されるそうです。尋問だよね⁉ 拷問ぢゃないよね?? 怖いから止めてね? 

 せっかくおうち借りられたのに要告知物件になったら申し訳ないじゃない? ね?


「ううん……え? ここは? ああ! 男旱おとこひでり魔王にお姉さまをたぶらかしているクソおとk――」


 ゴン!


「それ以上洋一とナイマを蔑むようなら、例えリオちゃんでも死を覚悟しなよ?」

「え? お、お姉さま……」


「洋一とナイマを害しようとする貴様にお姉さまと呼ばれる筋合いはないが??」


 エレンはガチ怒りです。


 剣聖さんは涙目です。


 因みに剣聖さんは、鎧一式すべて剥ぎ取られていまして、貫頭衣みたいなもん着せられて亀甲縛りで椅子に固定されてます。好きですね、この縛り方……ほんとどこで覚えたの?

 歳のころは二五歳前後、赤髪碧眼の美人さん。剣聖だけあって身体も引き締まっていますけど、出るとこは出てますね。うちの二人よりそこは上回っているかも?





 さて尋問の結果わかったこと。

 先ず、目の前にいる赤髪の女は剣聖バビ。バレリオ・バビ・ラベラ《ビビデバビデブー》で間違いないこと。


 彼女はお姉さまと慕うエレンが異世界に飛ばされたことまではわかったが、迎えに向かうのは難しいことは知っていた。

 そこで七年もの月日と莫大な予算を注ぎ込み異界渡りの魔道具を開発した。


「んで、やっとのことで来てみたら――」

「まさかお姉さまが男と暮らしていて、しかも魔王とまで一緒とは思わなかったです」


 そこでなけなしの魔力を使い、魅惑の魔法を俺の周囲にかけ、他の女たちと浮気をさせてエレンが愛想をつかすように仕向けていたそうだ。


「そんな程度のことでは、わたしは動じないわよ⁉ わたしと洋一の仲はその程度では崩れないわよ!」


 お前たち、俺のこと荊棘いばらつたで張りつけにしたよな? チクチクされたり、血を吸われたり……触手であれこれもされたっけ?

 マッパにされて、スーツ燃やされて……それで動じていない、と。へーへーへー?


「………。えっとね、ナイマはもう魔王じゃないんだからその呼び方は改めなさい、リオちゃん」

「はい。すみません。ま、じゃなくってナイマさん、すみませんでした」


 あからさまに話題を変えてきたぞ、おい?

 まあ、いいや。お仕置きは後でだ。


 ところで、向こうの世界とこっちの世界では時間の流れが違うことが今回判明した。向こうの世界のほうが随分と時の流れが早いようだ。

 こっちの八ヶ月余りが向こうの世界では七年も経っているのはオドロキ、モモ……なんでもない。


 エレンと別れた時の剣聖は一八歳だったのだが、今や二五歳の立派な女性。しかもうちの二人に見劣りしないほどの美人と来たもんだ……


 抵抗する気もないようだし可哀想なんで捕縛は解いてやって、エレンと二人昔話をさせてやることにしてやった。

 時々涙ぐむエレンを見ると、帰りたいのかなって思ってしまうけど、絶対に帰らないって言っていたもんな……でも本当は帰りたいのかな?



 漏れ聞こえる話によると件の聖女は凱旋後数年で死んだようだ。症状からして多分、糖尿病……

 魔王討伐完了の褒美で食っちゃ寝生活をおくり、以前にも増して相当になっていたようだ。


「でも、こちらに来たときに最初に会ったのは聖女マリノ様でした。自覚ありの転生をしてせいふーぞく店を営んでいるそうです。見た目は全盛期の聖女様そのものでしたよ?」


 やっぱり香夜噴町の歓楽街にある『せいじょの夜伽』は想定外の異世界転生を成した聖女マリノ店でした‼


 彼女の転生ボーナスは性女スキルだったようで性技満載なチートスキルを行使しているようで、お店は大繁盛だそうです……

 聖女マリノはどういう仕組みなのか二二年前のこちらの世界に転生したようだが、やっぱり時空の狭間を越えると生死に関わらず時間の流れに異常をきたすようだ。


 いくら考えても仕組みは分からんが、一つだけははっきりしていることがある。

「香夜噴町の『せいじょの夜伽』には絶ぇぇぇっ対に近づかない!」




「やはりお姉さまは帰らないのですか?」

「うん。絶対に帰らないよ。洋一とナイマと別れる気もないし、少しずつだけどこちらにも友だちが出来ているしね。洋一とナイマには話したけど、わたしはこっちの世界が好き。ナイマにこっちに飛ばされて洋一に拾ってもらったのは感謝していることはあっても恨むようなことは一つもないんだよ」


「そうですか……そこまでお姉さまの気持ちが堅いのであれば私は諦めます。二度と会えないと思っていたのがこの様に再び会えただけでも感謝です」



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香夜噴町のせいじょの夜伽にはちょっとだけ興味があったりします。性技満載のチートってどんなのだろう??


さて、次回大団円?の最終回。

まだ★もレビューもまだお方。今のうちだよ?

ね? お願いしますよ⁉


では。また明日。

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