第10話 魔王⑤

連続5話中の5話になります。最終回です。

連日1話ずつ公開して来ましたがいかがでしたでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。

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 エレンは洗面所で髪を乾かしているので、俺は先にベッドで待っている。もう流石に先に寝てしまおうなんて思っていないので、エレンも安心して? 髪をとかしている。


 エレンにも魔王グソンを目の当たりにしていろいろと思うところがあっただろうが、俺に免じてその思いも考えもなくじ曲げて飲み込んでくれた。


 仲間や知り合いの死など、悔しい思いも悲しい思いも異世界向こうでの戦争では数多く経験してきたはずなのにな……


一方のナイマの方も気持ちも分からんでもない。男がいないのでは子孫は残せないし、そうなれば滅びる以外に手立ては無いだろうから戦争でもなんでも手段を選んでいる場合じゃないだろうしな。次の一〇〇年は流石の魔王でも保たないそうだ。

の王子も子種播種はしゅ機でも無いですからね……わたくしの我儘ですよね」


 はあ、なんて物分りの良いいい娘たちなんだろう。こんな娘が殺し合いの場に身を置かなくちゃいけないなんてな。せめてこっちに来たからには幸せにしてやんないと……ちっ、またマジがらにねぇこと考えてら。


「おまたせ、洋一。ナイマはもう寝ちゃったの⁉」

「疲れてたんだろ? 知らない世界にすっ飛ばされて、頼みの魔力も無くて大変だったんだろうよ」


「洋一は優しいね」

「んなワケあっかい。俺は自己中な阿呆でしか無いさ」


「ふふふ。そうなんだね……ねえ、今夜は一回でいいから、ゆっくりと優しくしてくれないかな?」


「いいのか? ああ、でも俺もそんな気分なんだよ」


 唇を重ね、いつもよりもずっと時間をかけて、ゆっくり、優しく、愛おしく……



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 俺は――小高い丘の草っパラに張りつけにされてるようだ。両の腕と脚を押さえつけられ、更に首も押さえつけられているようで身動きが出来ない。

 左右から首筋にチクリと痛みが走る。ムシヒルなのか? 生暖かい息が首筋に掛かる様子もある。これは異世界の吸血鬼の仕業なのだろうか? 吸うように舐めるように噛み付いているかのように……


「離せ‼ 助けてくれ‼ 俺には守らねえとなんない女が二人もいるんだ! こんなところで倒れるわけにゃいかねえ!」




 ガバっと起き上がる。起き上がれなかったけど……目が覚めた。


「ん? 夢? これは知っている天井だ……俺のベッドだな……ここ」


 右を見るとマッパで寝ているエレンが俺の右腕に絡みついている。脚も俺の右足に絡みつかせている。びくとも動かせない。


 俺の首元に顔を埋めてレロレロと首を舐めている……なにしてるん?



 違和を感じ、左を見ると、ナイマがマッパでやっぱり俺の左腕に絡みついて俺の首に歯をたてている。当然ながら脚はしっかり絡みつかしてある。こちらもびくともしない。



 えっと……? どゆこと?



 三人でシングルよりは多少マシなだけのセミダブルのせっまいベッドにマッパでくっついて寝ている模様ですけど……えっと? これは寝起きで思考がまとまらないやつじゃぁねえよな? マジでおかしなやつだよな?


 ……エレンは、分かる。昨夜もだったからな。たまにはああいうのも今後は挟んでいこう、激しいだけじゃ駄目だな。よく分かった、ヨシ!


「そんで、ナイマはどうしてここにいるんだ? 百歩……いや、千歩譲って独り寝が寂しくて潜り込んでここで寝たとしても……何でマッパなん???」


 俺、知らんうちにナイマのこと頂いちゃったりしてませんよね? そうしたら勿体ないじゃん?

 ……なんてことは思わないんだよね。もしそうなら申し訳無さのほうが絶対に先に来ちゃうんだよ。難儀なんぎな性格してるわ……とほ。


 ナイマよりエレンを起こしたほうがなんとなく良いような気がするので、首を舐め続けているエレンに頭突きをして目覚めを促してみる。


 ゴンっ‼ 痛ッ……そこそこ痛いんですね。


「すやすや……ううん。れろんれろん……チュバ」


 ダメージが俺にしかないご様子……なんで? ふつう起きるよね? けっこう強めにいったんだけどなぁ~


「あっ……そこはらめぇ~」


 今の頭突きの衝撃でナイマの頭が俺の首から胸に移動してしまった……結果。俺のポッチをナイマは軽く歯をたてながら吸いまくっている最中です。


「ちょ、ちょっと……悪くないんですけど……良くないです。いろんな意味で!」


 必死になって身体をよじったら、エレンまで右のポッチに張り付いてきた! もうだめです……って。おい⁉︎


「なあ、お前らさ、起きているだろ?」

「……バレてたの?」


「そりゃ、おかしいもんな。何で両のビーチク左右から寝ているはずの二人に吸われんのさ? さすがに都合がよろしすぎるだろ?」


「あはは、そうだよね。ささ、ナイマも終わりにしよ」


 エレンは早々にばらしてくれたけど、ナイマは未だにチューチュー吸っているのを止めない。なにげに舌使いが上手すぎるので無碍むげに払うのも勿体ない気が……


「おいおい。ナイマ、もう終わりにして起きようぜ? 今日はお前の着る服とか買いに行かないとな……ってなんで止めないのぉ⁉」


 ナイマの目はもうとろんとしちゃって、そのまま俺に口づけしてくる。


「あ~あ。ナイマのスイッチ入っちゃったみたいだよ?」


 いや、あのエレンさん? 目の前でアンタの旦那が他の女とエロいことしているんですけど?


「ナイマは第二夫人だから良いんだよ。えっと、あの加護はナイマにもかけてあるからそのままで大丈夫だよ? わたしもしたいけどここはナイマに譲るよ」


 え? 第二夫人って何? 聞いてないんですけど? はいぃ???


 エレンはお腹すいたし、パンを食べてくるからごゆっくりと言って寝室の扉をパタリと締めて部屋を出ていった。


「洋一様……わたくしを……ナイマを女にしてください……」


 ナイマはそう言うと俺の返事も待たずに俺の口内を蹂躙しに取り掛かる。


「エレンの言っていた通りですね……洋一様の魔力はとっても美味しいです……はぁはぁ」







 結論から申しますと、俺、向井洋一は負けました。完敗でございました。こっちの世界の倫理観なんて、彼女らの魅力のもとには何ら効力を持っておりませんでした! すみません! ナイマもピカっていうの使うんです!


 途中から「何時迄もズルいよ!」ってエレンまで乱入してきて午前中は、これだけで全て費やされました。ホントごめんなさい……



 ところでエレンが第一夫人でナイマが第二夫人ということで彼女らの間では全て解決し決定していることのようです……って! って! ナニソレ‼ 聞いてないんですけどぉ??? 当人蚊帳の外ってどーなってるの⁉


「洋一、男なら妻が二人いることぐらいで慌てないでよね!」

「うぐ……」


「洋一様、わたくし達は二人とも回復魔法が得意なので問題はまっああああったくないのでご安心ください。心ゆくまでわたし達を愛でてくださいね?」

「……はう」


 もう考えたってしょうがないので、二人とも俺が養っていくしか手立ては無いようです……

 外堀が埋まるだの埋めるだの云々どころか見渡す限りの真っ平らな地平線しか見えないようです……どこからでもかかってこいです、はい。


「転職の次は引っ越しを考えないといけないんかい……」


 でかいベッドに三人で入れる風呂。このボロマンション、ルミエール絵野田えのだは外見ばかりは古いけど住みやすかったんだよな。勿体ないけど仕方ねえよなぁ~


 ……さてと。どうにもこうにも俺の甲斐性を見せるしかなさそうだな。



 勇者と魔王が俺の腕に抱かれて嬉しそうに微笑んでいるんだ。

 この微笑みを絶やすわけにゃいかねぇな!


 まっ、そうゆうことだよ。




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★評価など頂けましたら作者は喜びます。

ただ読んでいただいただけでもありがたいです。

一応、これにて終話とします。二人の異世界人は洋一のもと幸せに暮らすことでしょう。


続編を書くってすごい大変ですね……

ではまた何時か、何処かで何かが落ちているかもしれません。


※ひと月もジャンル別でトップ10に入れていただけてありがとうございます。

近日中には三匹目のどじょう……を放流出来るかもです。

続編も大変でしたが、続々編は大変どころでは無いですね_:(´ཀ`」 ∠):

乞うご期待???



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