第8話 魔王③

 連続5話中の3話になります。

 一度間違って消してしまいましたので、おかしい点があるかもしれませんがご容赦ください。

 どうぞよろしくお願いいたします。

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 今日はこのまま寝ちゃおうか? エレンが寝かしちゃくれんだろうけど……

「あ、あの……すみません。ちょっとよろしいでしょうか? 痛ツツ」

「ああああ! 忘れてた! 魔王ナイマ・グソン・マンフレドニア! 貴様がなぜここにいるのだ⁉」


 このエレンちゃんの忘れん坊さんめっ⁉ って、俺も忘れてたわ。ないまんのぐそまんこぬれんど……だっけ? エレンもよくあの長い名前を覚えていられるな。ん?


「え⁉ チョット待って。今、魔王って言わなかったか? ナイマって魔王なの?」

「はい。わたくしはマンフレドニア魔国の魔王グソンです。お伝えしておりませんでしたか?」


 魔王生きてるし、聞いてないし……仇敵どころかガチ殺し合いの相手同士じゃん。どうすんの?


「わたくしは殺されても仕方のない所業を行ってまいりました。それに……わたくしにはこれからこちらの世界で生きていく手段が何もありません。あの猛獣にゃんこに貪り食い殺されるよりは、いっそのこと――」


 ナイマは勇者エレンに首を差し出し、殺せ、ここで討ち取れと言う。


 エレンは奥歯をぎりぎりと鳴らし憤怒の表情で先程せっかく仕舞った聖剣を再度右手に握る。そのままLEDの安っぽい照明に照らされ鈍く光る聖剣を頭上に掲げる……


 エレンさんや、剣の先っぽが壁に当たっているからもうちょっと注意してくれるかな⁉ 壁に傷をつけるとさ、敷金に響くじゃん? ね?


「あのぉ~ 首ちょんパとか絶対にやめてもらいたいンすけど?」


 エレンに自宅で積年の恨みを晴らされても困るし、かと言って外でやられてもそれはそれで困るのでどうしても止めてもらいたい。ナイマも余計なこと言うんじゃありません!


 異世界こっちに飛ばされて結果オーライのエレン的には恩人と言っていいぐらいなんだから許してあげようよ? だめかなぁ?


 何とも言い難い緊張感でおしっこちびりそう。いい年してそれは恥ずかしいし困るので一先ずトイレに行っておこう。


 ジョボジョボジョボ……

「落ち着け落ち着け。なんとかなるはず。俺は出来る子。大丈夫大丈夫」


 トイレから出てきても先程から何も変わらず、聖剣を振りかざすエレンに項垂れて首を差し出しているナイマはそこにいた。やっぱ無理だよね、知ってたし!


「洋一」

「ん?」


 ナイマの首を落とすのは諦めたかな?


「トイレから出たら、手を洗わないと駄目だよ!」

「……うん。分かってる」


 意外と冷静なんだな。こっちの衛生観念も身についてきたようだ。でもなぁ~ う~ん、なんかエレンの剣を収める理由付けをしてやれば良いのかな?


「あのさ、エレン」

「なんだ? 洋一殿」


 久しぶりに勇者モードに戻ったか……


「どうすれば、その剣を仕舞ってナイマのこと許してあげられそう? 俺で出来ることならエレンのいうこと聞くからさ……どうかな?」


 剣先が揺れ始める。動揺しているのが素人目で分かっちゃう勇者様ってどうよ? 残念勇者なエレンならしょうがないけど。


「な、何でも? 洋一が……何でも聞いてくれるの? ホント?」

「本当だとも。俺がエレンに嘘ついたことあるか?」


「え、あるよ⁉」

 あれ? そうだっけ?


「ま、まあ。そんな事もあったかもしれないけど、今回はちゃんということ聞くからナイマのこと許してよ、な?」

「な、なんで洋一は魔王グソンの肩を持つのだ?」


「はぁ? 持ってねぇし!! 持ってるのは自己保身だけだよ! ここでナイマの死体ゴロンとされたら俺の将来もゴロンと転がっちゃうじゃん! そしたら、エレンと面白おかしく暮らすことできなくなるよ⁉」


「そ、それは困る…………じゃ、じゃあ、仕方ないな。わ、わたしも洋一とずっと一緒がいい、もん」


 おっと、勇者モード終了。急に可愛くなったぞ? 抱きしめちゃおうっかな⁉


「エレン。ナイマのこと許してやれるか?」

「うん。でも洋一が、わたしのいうこと聞いてくれたらね……」


 チッ……ちゃんと覚えているか⁉ しゃーない、俺もああ言った以上いう事聞いてやるか。さて、エレンは新しい服が欲しいのか? それともアクセサリーか? もしかして食い物かな?


「あの……あのね。洋一、アレの回数を――」


 ――今現在俺とエレンは平日一晩にイタすのは二回まで、休前日に限っては五回だ。つーか、そこまでで俺がストップを掛けているだけなんだけど。制限かけないと……ね?

 これがほぼ毎日で、エレンの女の子の日ウィークだけはおしゃぶり一回/日だけで終わりにしている。あのときは自己回復に魔力が割かれるらしんだよな。で、魔力補充にチュバッとね。


 エレンはエッチは魔力補充のためだと言い張るが、補充した途端に回復魔法で放出しているくせに何いってんだかという気持ちも無くもない。言わないけど。


 それを平日は一晩三回、休前日を七回として、更に加えてラストの二回を、せめて最後の一回は噴水プシャーしたいという。

 噴水プシャーは俺にバフかけてエレン自身にはデバブかけて、より強く深く……ああ、もうそんな説明要らないわな。


「…………分かった」

 ナイマの首から赤いのがプシャーよりも一〇〇〇〇〇倍は良いので謹んでお受けすることにした。


 この際ベッドも買い替えよう……スプリングがこの一月でグズグスになってしまったからな。


「ヤッター‼ わ~い‼」

 諸手を挙げて歓喜のエレンさん。そんなに俺とシタイの? まあ、俺的に悪い気分じゃねえけどよ……


「と言うことで、首は落とされなくなったんで。良かったな、ナイマ」

「この御恩は一生忘れません。わたくしには向井様にお返しするものがなにもないので先ずは夜伽を……」


 またのこのパターンかよ!


「結構です。要らないです。ノーサンキュー!!」

「なんで? なぜなのですか? やはりわたくしのような痩せぎす女は嫌なのですね……」

 煩いよ。またそこからスタートなのかよ⁉


 人を呪わば穴二つとはよく言ったものだと思う。魔王グソンはエレンたち勇者パーティーの攻撃に対して反撃魔法で次元転移魔法を自身の全魔力を投じて放った。


 その際には自分自身の精も根も、勿論魔力も尽き果て時空の穴へと吸い込まれてしまった。もう生きていても仕方ないという思いがあったそうで、無抵抗のまま闇に吸い込まれたそうだ。

 その後ナイマは時空を彷徨った挙げ句、エレンに遅れること一月ほどでこの地に転移したようだった。


「洋一、一応説明するよ。さっきからナイマだったりグソンだったり彼女のことを呼んでいるんだけど、その国の名を称するのが統治者の習わしで、ナイマの場合、統治者名が『マンフレドニア』で、公称が魔王『グソン』で、真名が『ナイマ』だよ。どうせ覚えられないだろうけど」


 エレンは元々ただの町娘だったのでただの『エレン』でしかないそうな。魔王や勇者という呼称は社長や部長とか課長とかいうのとおんなじ役職だと考えればいいらしい。ホントかよ?

 もう魔王でもないし国も統べていないのでナイマはナイマでいいそうだ。そうしてもらいたい。面倒な呼び名はもうこれ以上懲り懲りだ。





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 ★評価など頂けましたら作者は喜びます。

 ただ読んでいただいただけでもありがたいです。次話最終回もよろしくお願いいたします。

 間違って一度消去してしまいましたので、少し変な所あるかもしれません……



 ※ご指摘いただきました『ナイマ』が「マイナ」になっていたのは直しました……絶対やるとは思ってましたが……気が抜けたようです。(;´д`)トホホ…

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