あとがき
最後までお読みいただきありがとうございます。いかがだったでしょうか?
いわゆる「乙女ゲームの悪役令嬢」に転生し、ゲームの知識を活かして破滅を回避したり奮闘したりする作品は多数あれど、その悪役令嬢を救うために登場人物ですらない人物が最底辺から成り上がるという作品は記憶にないな、ということから書き始めた作品でした。
また、本作の序盤は特に徹底的にテンプレに従うという事を意識して書きましたので、恐らくほとんどの要素がどこかで見たことがある内容だったのではないかと思います。
筆者の知る範囲であまり見かけない要素はグライダーと無私の大賢者様くらいでしょうか?
本作は当初 60 ~ 70 話くらいかなーと思っていたのですが、あれよあれよと膨らんで気が付けば倍以上の量となっていました。第69話のタイトルでタイトル回収をしている点からもわかる通り、アナスタシアが目を覚ましたらサクッとエイミーをざまぁして終わる予定だったんですが、おかしいですね。
何とか書ききることは出来ましたがエイミーには何度も何度も苦労させられまして、その突拍子もない行動のせいで一度筆を投げてしばらく放置していた時期もありました。
いつエタってしまうか分からない状態だったため、完結させてから公開することにしたという経緯を辿った作品だったりします。
ちなみに筆者としてはちょっと恋愛小説を書いて小説を書く能力をアップしたいと思って始めた作品ですので、上手く心情などを表現できていたなら幸いです。ただ、その割にはデートシーンが少なかったり恋敵らしい恋敵が居なかったり、人が次々死んだりと恋愛小説らしからぬ部分のほうが遥かに多いわけですが、気が付くとそうなっていました(汗)
また、本作は小説家になろうさんで各種ランキングの 1 位に押し上げて頂き、多くの読者の皆様のおかげで筆者に足りていない部分がよく理解できた思い出深い作品です。
縁あって、本作は第 2 回アース・スターノベル大賞にて佳作に選んでいただき、書籍という新たな舞台でアレンとアナスタシアの物語が紡がれていくこととなりました。書籍版では本編でテンポを重視して大幅にカットされている序盤での母親や先輩冒険者とのお話、学園でのやり取り、アナ父との絡みや主人公の心境の変化など、多くの場面を追加、修正したいと考えております。
書籍で二人の活躍を見たい、物足りなかったな、もっとこの部分を知りたかった、ちょっと不満があった、などとお思いになられた方は是非書籍版をお手に取って頂けると幸いです。
書籍版の第一巻は 2021 年 3 月 15 日に発売となります。是非ともお近くの書店や通販サイト、電子書籍販売サイトなどでお手に取って頂けますと幸いです。
さて、主人公のアレンはかなり頭の良い設定となっていますが、これは厳しい身分制度がある中で公爵令嬢であるアナスタシアを射止めるには、このぐらいの能力があり、さらに一途に努力をし続けないと不可能だったからです。
途中でキャラが変わった、アホになったなどと言われていましたが、他人と関わらず明確な目標に従って行動していたからそういった部分が目立たなかっただけで、それまでにも色々とやらかしをしています。
着陸場所を考えずにグライダーで飛んでしまった上に引き返さずに強行着陸しようとしたり、ジェローム君がポンコツだとイライラして荒い言葉を使ってしまったり、予定外にエルフの里にいってしまったりと、主人公は最初から冷静沈着で完璧なキャラではありませんでした。これは精神年齢が転生によって退行しているという面もありますが、元々の性格でもあります。
また、人を殺すということへの考え方やただの町人から公爵家のお姫様と結婚するために視座が大きく変わった部分については読者の皆様を置き去りにしてしまった部分があったかと思います。こうした部分をきちんとお伝え出来なかった点は間違いなく筆者の実力不足です。書籍版ではしっかりとこういった点を改善して参りますので、ご期待頂ければ幸いです。
一方のエイミーですが、ヒロインとしての恵まれた立場にいたにもかかわらず前世の知識というチートに頼って努力を怠ったため、破滅へと向かってしまいました。
十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば只の人のルートをひた走ってしまい、自責の考え方を持てず妄執の果てにまともな判断が出来なくなってしまいました。
エイミーの最後については R15 の制約の範囲内であるとはいえ、内容的に人目に触れさせて良いものかという葛藤もあり完結までの本編には含めないことと致しました。エイミー視点での彼女の末路については後日談という形を取らせていただきました。
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後日談も不定期にはなりますが更新させて頂こうと思います。ご興味がおありの方はブックマークをそのまま残していただければ幸いです。なお、リクエストにもきちんとイメージが浮かべばお応え致しますので、ご感想などで教えて頂けると幸いです。
なお、その後の主人公とアナスタシアはとある地の領主に封ぜられ、領主夫婦としてその発展に力を注いで行くことになります。そして豊穣の腕輪がありますので子宝に恵まれるであろうことが予想されますが、それはまた別のお話です。
それでは、ここまでお付き合い頂きまして本当にありがとうございました。また別の作品でお会いできますことを楽しみにしております。
一色孝太郎
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