第149話 あっぱれ、梅ちゃん。

 一人暮らしの梅ちゃんに、19時ごろ電話すると通じません。ということが二回ほどあり、『パチンコか? 死んだか? どっちだろう?』と思った私は、本日10時に電話をしてみました。


 えぇ、通じました。無事に生きておりました。ついでに言うと、19時に家に居ないのはやはりパチンコでした。


 パチンコの話を楽しそうにする梅ちゃん。

「お母さん、パチンコの話はもういいから、聞いて。あのね、おじさん、腰が悪くてもう二か月入院してる。この間、手術したけど……」

 そう私が話し始めると


「歳いけば、みんなそうなるんだ。おらもよ、体が弱ってきてよ……」

 と、おじさんの病状を聞くより自分の話を始めます。


 そこで、母の話を遮って次の話をします。

「お母さん、まずその話はいいから。でね、妹もさ腰が痛くて、今、歩けなくてさ……」


「……おらもいつまで元気でいられるかわからねぇから、お前さお金の話をしておきたい。電車代出すから、一回こっちさ来てけろ」

と言う。


 う~ん、妹の体の心配は一切なし。

 恐るべし、梅ちゃん。

 我が子に対する愛情の欠片もない。

 そこで、私も話を切り上げる。


「私、今から(夫の)施設に行くから、もう切るよ。とにかく、今、そんな感じだから、お母さん倒れないでよ」

 

 と、電話を切った後、大きなため息一つ。

 

 梅ちゃん。

 頼むから、生んだ娘の心配ぐらいしてやってよ。

 まるで、妹の存在を消したようなその態度は良くないと思う。

 なんかさ、妹に申し訳ない気持ちになるよ、私。


 不思議だなぁ。

 私には三人の子がいるけれど、三人とも大事。

 どの子が倒れても心配だし、できることはしてあげたいと思う。


 何十年付き合っても、梅ちゃんのことが理解できない私ですが、 自分のためだけに生きる梅ちゃんを、あっぱれと思います。

 そして、反面教師としてあがめたい……

 

 

 

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