第144話 鬼嫁とじいじ(義父)

 午後七時。

 自宅に戻った私の耳に「ジャージャー」と謎の音。


 洗面所の扉を開けたら、はい、水が出ておりました。

「義父さん、水出しっぱなし!」

 と叫び、水を止めました。

 いつから出しっぱなしだったのかは、あえて聞きません。

 多分、一時間くらいかな?


 先日は、生協から届いた物を冷蔵庫に入れてくれていたじいじ。

 はい、トマトとネクタリンが冷凍庫に入っていました。

 トマトは冷凍できますが、ネクタリンは……不味くなって処分しました。


 こんな感じで同居中の鬼嫁とじいじ。

 そしてとうとう、先日、じいじと大バトルをしました。


 お盆に義理の弟さんが来られるというので、「ホテル予約するねー」と言った私にじいじは、「ホテルなんか予約しなくてもいい。ここさ、泊める。夏だもの。ここで、ゴロっと寝ればいいね」と言ってきた。


 はい?

 私、めちゃめちゃ気を使いますが……

 お客様を居間にごろ寝させろと……

 おもてなしの準備は私ですよね?

 仕事は休みとは限りませんし……

 義母の体調も悪く介護がどのくらい必要か頭を悩ませている私に、これ以上負担がかかるのは無理ですが……


 ということで、断固拒否しました。


 渋い顔をするじいじでしたが、鬼嫁一歩も譲らず。

 だって、無理です。仕事しながら、朝食どうする? お昼は? 夜は? と三度のご飯を気にしたり、お風呂の準備に寝床の準備。

 

 しかも、朝五時に起きて仕事に行かなきゃいけないのに、居間で人が寝ていたら御飯も食べにくいじゃないですか……


 じいじの意見を無視し、ホテルの予約を娘に頼みました。

 後日、面会でばあばに「義弟さん来られるので、ホテル予約しておきました。じいじは、家に泊めると言いましたが……」と告げ口。


 ばあばは「それでいい。家さ泊めるのは大変だもの」と、鬼嫁の味方をしてくれました。じいじは「でへへへ」と笑って誤魔化し、一件落着。

 

 ふぅ。

 じいじとは、共通の話題もないし、好きな番組も違うし、考えたら他人だし、二人でいると違和感しかないのです。ばあばの存在大きいな、と思う今日この頃。

 




 

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