第142話 診断結果。

 姑さん、やはり癌が転移していた……

 手術後、免疫療法をしていたが、一年も経たないうちに転移。


 そして見つかった脳梗塞。


 ここ数年の夏を振り返る。

 2022年、夫が倒れてバタバタした夏。

 2023年、姑さんのガン治療と夫の実家が全焼した夏。

 2024年、再度がん治療の夏。


 三年続くと、さすがに私もキツイ。

 が、姑さんはもっと辛そうだ。


 私は、姑さんが入院する前にこう言っていた。

「ガンが転移した可能性が高いので、覚悟しておいてください。ガン治療をするかしないか、それも含めて考えておいた方がいいです」と……

「お義母さん、きっと大丈夫ですよ」なんて下手な慰めはしたくなかった。


 死ぬ覚悟ができれば、生きる力が湧いてくることを私は知っている。

 死ぬ覚悟ができなければ、何とかして生きようと悩み苦しむことになる。

 だから私は診断結果がでるまでに、姑さんには腹を括っていてほしかった。


 でも、姑さんはできないままこの日を迎えてしまった。

 

 そして私は知った。

 いくつになっても、人は死を受け入れることができないということを……

 

 こうして、また新たなガン治療が始まる。

 

 

 

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