第136話 仕事クビになりました……

 何か言いたいことがあると、右手をあげる利用者さん。

 先日、仕事が忙しくて数回スルーしました。

 最初はね「今、手が離せないから待ってて下さいね」とお願いはしたのですよ。

 でも、ほら、こちらのお願いは通用しないのです。

 そのうち、手をあげているのを見ても知らぬふりをした私。


 落ち着いてから、その方の所に行くと

「おめぇも、性格悪くなったな。クビだ」

 と言われました……


「えっ? クビですか?」

「うん。おめぇと香苗(ちなみに香苗という名の職員はおりません)はクビだ。おれは、会長だからな」

「そうですか。ちなみに私の名前は知っていますか?」

「……」

「月猫です。私と香苗さんがクビで、あと何人残っているんですか?」

「あと、三人いるな」

「三人ですか。その方々の名前は?」

「……」


 名前出てこないんかーい! 

 というツッコミはしませんでした(笑)


 このクビの一件で、利用者さんにとって大事なのは『今』なんだろうなというのが分かりました。が、しかし、毎回毎回『今すぐ対応』ができません。

 だからきっと、これから先、何度もクビになるんだろうな、私。

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