第103話 梅ちゃん道
何度もこの世に蘇ってくるモンスターのような梅ちゃんも、日に日に気弱になっていくようです。
とうとう電話で、こんなことを言いだしました。
「おら、そっちさ行って、孫とひ孫と一緒にご飯食べてぇ。おらがお金出してやっから」
こりゃ、かなり弱っているなぁと思いましたが、忙しいからとお断りさせて頂きました。我ながら酷い娘だなぁと思います。
しかしですよ、梅ちゃんは我が家に来たら多分帰りません。なんだかんだ理由をつけて、我が家に居座ると思います。梅ちゃんの考えること、わかるんです。長い付き合いですからね。
娘と次男坊に、「梅ちゃんがさぁ、今度驕るから肉でも食べに行こうって言ってたよ」と伝えたら、「行かないよー」と返事が返ってきました。
そりゃそうだ。孫たちは、お年玉も入学祝も結婚祝いも出産祝いも貰っていませんもの。それは、今まで梅ちゃんが孫に関心がなかったということでもあります。
とはいえ、梅ちゃんに冷たい自分に何だか腹が立つ。
かといって、おいでとは言えない。
どうせなら最後の最後まで「梅ちゃん道」を貫いてほしい。
「夫も親も子もいらねぇ。金さえあればいい」
それが梅ちゃんの生きる道だったはず……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます