第99話 あれ、悪口が聞こえたの?

先週、電動歯ブラシを買いに行った私。

施設に持って行く前に充電しようと思ったら、電源アダブターがないことに気づきました。


「なんと、これじゃ充電できないやん! 電気屋の店員さん、アダブターのことを教えて欲しかったよー」

(そう、私はスマホのアダブターが代用できることを知らなかったのです)


そんなこんなで、日を改めて電気屋さんへ行きアダブターを購入。

そしてようやく本日、施設へと持って行きました。


オムツパットの交換に来た介護士さんに

「すみません、電動歯ブラシ用意したので、使えるかどうか様子を見てもらっていいですか? 使えなかったら、持ち帰りますから」

と話をしてみます。


介護士さんは、優しい笑顔で「わかりました」と快く返事をしてくれて、ホッとしました。電動歯ブラシを洗面台に置きに行きますと、なんとコップと歯ブラシが綺麗な状態になっています。


しかも『うがい受け』という、小さな容器も用意されておりました。

夫に歯を見せてもらうと、歯石も前より少し綺麗になってます。


誰かが気づいて、介護士さんたちの間でケアされるようになったのかもしれません。

(あまりのタイミングに、私の悪口が誰かの耳に入ったかと思いました)


それと、訪問歯科もケアマネさんにお願いしてきたので、とりあえず口腔ケアの問題は解決しました。


さて、夫はというと私の顔を見ると「あれ、持って来て!」と注文ばかり。


『黒酢のサプリ持って来て』には、もう解約しましたのでありませんとはいえず、『看護士さんにサプリ飲めるか聞いてから持って来るねー』と誤魔化す。


『スマホ持って来て』には、勝手にスマホで買い物されたりしたら困るとはいえず、『スマホ壊れたみたいで電源が入らないんだよねー』と誤魔化す。


そんなこんなのやり取りに、微妙に疲れてしまった私は、次回は孫と一緒に来ようと思ったのです。

「今度、孫と一緒に来るからねー」

帰りにそう言うと、夫は孫に会えることを喜んでおりました。


悶々とする思いを抱えながら、本日『親の介護をはじめたらお金の話で泣きを見てばかり』という鳥居りんこさんの本を拝読。


本の中の一文に、介護スタッフの呟きが紹介されておりました。

「命を削りながら仕事をしている感じで……」


りんこさんは、若いスタッフさんの言葉を聞いて、こう書いていました。

平均年齢90歳越えの施設で、若者たちは死にそうになっている。

死ねない年寄りと、死にそうな若者……


えっ?

私、今、そんな職業を選ぼうとしているんですけれど……

もはや若くない私は、大丈夫なのだろうか? 






 


 


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る