第90話 月猫、鬼嫁になる。その➀

 8月1日に無事に退院となった義母でしたが、その10日後の11日に再入院。


 いや、うん。

 なんとなく、嫌な予感はありました。

 義母は、大人しく安静に寝ていることができない性分ですから、多分今までと同じ生活をしちゃうだろうと思っていたのです。エアコンも付けていないし、熱中症になるかもと心配していたのですが、状況はもっと最悪でした……


 お盆の準備をしようと買い物に行ったり、重い物を持ったりしていたそうです。当然ですが手術で縫ったところに負荷がかかります。

 そして、便秘気味で下剤を服用したそうです。


 下剤が効いて、トイレで用を足した後に出血と共に何か白いものが出てきて、それから激痛。

 その状態で直ぐに救急車を呼んでくれたらいいのですが、まず連絡したのはお友だち。そして、大学病院に電話したら前に通院していた病院に向かうように指示をされ、親戚を呼びました。


 義母の「救急車は呼ばないで!」という意向を尊重し、あれやこれやで病院に行って処置をするまで一時間以上。その間ずっと激痛で苦しんでいたようです。


 いやいやいやいや!

 救急車を呼んでくれ!

 倒れた本人が嫌だと言っても、そこは救急車です‼


 当時の話を聞きながら、月猫は心の中で叫びました……


 さてさて、腸は空気に触れて乾いてしまうと腐っていくようです。感染症の危険も高まります。救急隊員なら、腸が乾かないようにしながら病院へ運びます。でも、今回はそれが出来ていませんでした。


 近くの病院で、腸をお腹の中に一旦戻したものの腸の状態を詳しく検査しなければなりません。一部が腐っていたら、そこから腸がどんどん壊死していくのだそうです。しかも、義母の場合は退院してから十日しか経っていません。通常の脱腸の手術とはいかないのです。義母は大学病院へ救急搬送されました。


       続く。

 

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