第21話 緑の髪の男

「君たちは異質いしつで危険だから、引き離す目的でこの子を連れて行かせてもらうよ」


「なっ…そんなことさせるわけないだろ!」


「…簡単に私を捕まえられるなんて思わないでよ」


「?」


 そう言い、悪い笑みを浮かべてカルミアが男の方を見る。


 …しかし、何も起こらない。


「あ、あれ。召喚魔法が効かない…」


 途端とたんカルミアの余裕がなくなり、あせり始める。


「じゃあ、アドグラ!」


 …何も起こらない。


「なんで?!どうなってるのよ!」


 ついに焦りが頂点に達し、さけび始めた。


「僕はスキルの効果で、敵対てきたいするもののスキルの影響えいきょうを受けないから、君の魔法系スキルが効かないのは当たり前のことだ。安心しなよ」


「できないから焦ってるのよ!」


「じゃあ、ということだからこの子は預からせてもらうから」


 また、#瞬__まばた__#きの間に消えるつもりか。


 …今、何か相手のスキルの正体を#掴__つか__#めそうだった。


「瞬き…」


『ちゃんと相手を見なよ』男の言葉を思い出す。


 ニヤッと悪い笑みを浮かべ、


「…どうした、消えないのか?」 


 片目だけを閉じ、目が#乾__かわ__#かないようにする。可能性があるというだけで、もし違えばそのまま見逃すことになっていたが、


「当たってたみたいでよかった。自分を視界から離した相手に認識させないスキルってとこか」


「まぁ、ここまでわかりやすくしたんだから、わかって当然だよね」


 確かに弱点を教えてくるような発言が多かった。


「わかっても意味ないけどね。無駄話は飽きたからそろそろ帰らせてもらうよ」


「は、何言って…」


 直後、男とカルミアの周りが赤く光る。


「じゃあね。魔王様の城で待ってるよ」


「ま、待て!」


 必死に追いかける。が、カルミアの伸ばした手に手がふれる直前に消えた。


「あ、あ…」


 崩れ落ちる。


「うわぁあああああ!」


 *


「今から魔王の城に行きます」


 パラキシア城、国王に伝えて国を出ようとする


「待て!何があったのだ」


 男の話をすると、


「緑の髪の男…もしや…」


「!何か知ってるんですか?」


「…いや、わしが知っている男はもう何年も前に死んだはずだ」


「そう…ですか」


「では他の国の勇者たちにも伝えて応戦させよう」


「ありがとうございます」


 冬志が城を出る。


「まさか…な」

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