第11話 魔女との戦闘

「さぁ、久しぶりに楽しみましょう」


 広野に様々な大量の魔物。昨日の夜にみかけた魔物がほとんどだ。


「カルミア、全員召集して」


「了解」


 こちらも魔物を召喚する。


「あらあらまあまあ。カルミアちゃん成長したのねぇ」


「うるさい」


 相手の魔物が襲いかかってくる。女は見ているだけで戦闘に入っては来ない。少しずつ敵をへらして


「…ん?」


 よく見ると、敵の魔物が女に向かって攻撃している。


「まさか、テイムされてない…?」


 女は自分へ攻撃してくる魔物を全て先程さきほど冬志にしたように、空へ飛ばしている。


「よし、それなら…テイム!」


 倒していった魔物を次々テイムしていく。


「いける、勝てるぞ!」


 冬志が敵を倒しつつテイムを、カルミアが多すぎる敵を遠くに飛ばし減らし、ウル太郎達が複数で一体ずつ着実に倒していく。


 *


 そして、攻防が10分ほど続き、


「はぁ、はぁ…」


 太陽はいまだ高く、動き続ける冬志の体力は限界に近づいてきた。


「トウジ、大丈夫?」


「な、なんとか持ち堪えてる。でも、」


 魔物が減れば女が足していく。いつまで経っても終わらない。何かこの状況打開だかいできる策を考えなければ…


 ピコン


『テイムしたモンスター「ダークウルフ」のレベルが最大になりました。ダークコボルドへの進化が可能です。…ダークウルフが進化を確定しました。』


「なんだ…進化?」


 すると、ウル太郎が突然倒れ、あわい青色の光に包まれた。少しして、光が消え、ウル太郎が…二足で立ち上がった。


 そして、発達した足で地を踏み込み、前へ跳んだ。


「はっや…」


 進化前よりするどくなった爪で前方で群れている敵を切りいていく。


『ダークコボルドのスキル、「戦闘勘せんとうかん」、「超脚力ちょうきゃくりょく」を入手しました』


 敵も味方も唖然あぜんとしている中、


「あぁ、なんて美しい子なのぉ。主人のために成長を止めず、新しい力に振り回されずすぐに自分のものにしている…あなた、素晴らしいわぁ!」


 女だけが顔を赤らめ、興奮こうふんしている。


 気づくとすでに敵の1/4ほどが倒されている。


「…見惚みとれれてる場合じゃなかった。みんな、チャンスだ!一気に敵の数を減らせ!カルミア!いくぞ!」


「わかった!」


 敵の数が減り、女への道ができた。


 二人が走り出す。カルミアが冬志を女の背後へ飛ばす。剣を低く構え、腰から肩へ袈裟けさ斬りに。一気に決着をつけようとする。


 しかし、


「あまり舐められると困っちゃうわぁ」


 こちらをチラと見て、どこから取り出したのか、30cmほどの剣を冬志の顔に向かって振るってきた。


 カルミアが冬志を少し遠くに飛ばし、距離を離す。


「あら、惜しい」


 もう一度女へ向かって走る。剣を振るう。しかし、女は涼しい顔で受け流す。カルミアが転送で援護えんごをするが、全て見切られる。


 するとそこへ、


「___ッ!」


 ウル太郎が参戦してきた。


 冬志とウル太郎の同時攻撃で女はかわしきれず冬志の剣が擦り、血が流れる。


「痛いわねぇ。久しぶりに傷ついたわぁ」


 しかし、少しずつ二人の速さに慣れていき、攻撃を防がれていく。


「これならどう!」


 カルミアが二人を器用に転送し、撹乱かくらんする。


「…ちょっとだけまずいわねぇ」


 そこへ、カルミアが女の背後に転送した。女が攻撃を防ごうと後ろを向く。が、そこにいたのは、さきほど自分で空中に飛ばして倒していた魔物だ。


 気づいた瞬間、後ろから二つの殺気を感じた。間に合わない。


「うぉおおおお…ら!」


 剣と爪が女を切り裂く…直前、二人の目の前に黒い裂け目が現れた。


「惜しかったわねぇ」


 飛ばされた先は空中…ではなく、平野が広がっていた。地面があった。頭が混乱する。


「後ろ!」


 カルミアが叫ぶ。飛ばされた先は、女の目の前だったのだ。


 一瞬で死をさとる。


「そこまでだ」


 直後、国の方から光が飛んできた。そちらを見ると、弓を構えた男がいた。


「俺はこの国に召喚された勇者だ。悪魔、お前を倒しにきた」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る