第7話:自滅・異父妹オレリア視点
「ボドワン第二王子殿下、どうぞ自分の家のようにおくつろぎください。
殿下が婿入りして下さったら、ファインズ辺境伯家は殿下の家になるのですから、この屋敷で遠慮などなされないでください。
さあ、殿下の為に用意させていただいた年代物のワインでございます。
飲んでみてくださいませ」
さあ、一気に飲むのですボドワン。
特性媚薬入りのこのワインを飲めば、お前は私のモノ。
そうなればファインズ辺境伯家も安泰です。
いえ、機会を作ってシャルル第一王子を暗殺できれば、ボドワンを王にする事だって不可能ではありません。
男の子を生みさえすれば、ボドワンなどもう不要です。
どのような方法を使っても殺してやります。
幼い子供を傀儡にして、私がこの国の陰の女王となるのです。
別にボドワンが王位に就く前に男の子を産んでおいてもいいのです。
今日男の子ができれば何の問題もありません。
それに、別にボドワンの子供でなくても構わないのですから。
「殿下、遠慮などなされないでください」
ふん、この筋肉男は聖人君主ぶりたいの。
それとも、私を警戒しているの。
媚薬効果のある香を焚き込めているというのに、なかなか崩れないわね。
騎士になるべく鍛え上げているというのは噓ではないようですね。
でものこのこと屋敷に来た時点でお前の負けなのよ、ボドワン。
「醜い、本当に醜いな、オレリア。
どす黒い性根が顔に現れているのが分かっていないようだな、オレリア。
王家の諜報網と騎士団の鍛錬を舐めているのか、ブス。
お前達がブリジット嬢を殺そうとした事は最初から分かっているのだ。
この程度の媚薬香など耐えれるように普段から鍛錬している。
私に媚薬入りの香を嗅がせ、媚薬入りのワインを飲ませようとした罪からはもう逃れようがないぞ」
「おのれボドワン、謀ったわね」
「謀っただと、実の姉を殺そうとした腐れ外道のお前がそれを口にするか」
「死ね」
「毒を塗った暗器か、用意周到な事だな。
だがこれで最初から私を殺そうとしていた事が明白になったな。
もう言い逃れは不可能だぞ、オレリア」
「おのれ、おのれ、おのれ、生きて屋敷から出られるともうなよ。
殺せ、殺しなさい」
私は負けない、絶対に負けない。
ここを斬り抜けて辺境伯領に帰り着いてみせます。
こんな事もあろうかと辺境の猛者を集められるだけ集めてきたのです。
「ふん、騎士として武人として王家王国を護らんと鍛えてきた私を、そう簡単に殺せると思ってもらっては困るのだよ。
もう演技は不要だ、悪党共をぶち殺せ」
「「「「「ぎゃああああ」」」」」
そんな、バカな、私の集めた男達の中に、ボドワンの手先が入り込んでいたなんて、信じられない、信じたくない、私が、私が騙されていたなんて。
認めない、絶対に認めない。
負けを認めるくらいなら死んでやる、ボドワンを道連れに死んでやる。
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