第2話:対決
殺す気です、アドルフは本気で私を殺す気です。
私ももう意地を張ってはいられません。
この世界に来る事で初めて得ることができた父親、彼のような立派な騎士になりたかったのですが、騎士に拘って殺されては全く意味がありませんね。
ここは魔力に頼るしかないです。
次善の策として父親のような立派な領主を目指す事にします。
「何をしている、アドルフ。
一介の騎士の分際で、ファインズ辺境伯家の令嬢に手出しする事は許さんぞ」
助かりました、カーカム男爵殿の侍女が助けに来てくれました。
ですが、腐れ外道のアドルフなら侍女も一緒に殺そうとするかもしれません。
その時は命を賭けても助けなければファインズ辺境伯家の面目が立ちません。
もう悩んでいる場合ではありません。
転生で得た魔力を自重せずに使いましょう。
「ほお、そちらこそ一介の侍女が大きな口を叩いてくれる。
私はアドリーヌ夫人に頼まれて、ブリジット嬢に正騎士になるための鍛錬をしていたのだ、男爵家の侍女ごときが偉そうな口を叩くな。
それに、ブリジット嬢は正騎士の私の名誉を傷つけるような事を口にした。
私は正騎士の名誉にかけて決闘を申し込んだのだ。
平民の侍女ごときが立ち入れる問題ではない、下がっていろ!」
「ふん、相手の強さも理解できない未熟者が偉そうな口を叩くな。
だが私も最低のゴミクズの為にファインズ辺境伯家の名誉を汚す気はない。
未熟者の空っぽの頭でも理解できるように説明してやる。
感謝してありがたく思え」
「なんだと、俺様にケンカをうっているのか」
「私をお前のような弱い者いじめしかできない、ゴミクズ騎士と一緒にするな。
なんで強い私が弱いお前にケンカを売らなければいけないんだ。
そんな恥ずかしい事は絶対にやらん、ゴミクズ騎士と一緒にするな。
私は男爵家の侍女ではなく、王家からブリジット嬢に付けられた正騎士資格を持つ侍女だ、お前のような金を積んで実力もないのに正騎士の地位を買ったのではない」
なんですって、王家が遣わしてくれた侍女ですって。
しかも王家が定めた厳格な騎士の地位を得ている本当の騎士とわ!
女たらしのアドルフが後ろに下がっています。
勝ち目がない事をようやく理解したのですね。
それにしても王家が護衛を送って来てくれたのですね。
いえ、目付なのかもしれませんね。
辺境伯としての役目を果たせないファインズ家を処分するために……
「王家、ラティマー王家がブリジット嬢に護衛だと。
聞いていない、私は何も聞いていないぞ。
嘘をついても直ぐに分かるのだぞ。
それに、意味がない、何の必要があって王家がブリジット嬢に護衛をつける」
「意味がないだと、愚かな。
自分達のやっている事が王家にバレていないとでも思っていたのか。
胸に手を当てて考えれば直ぐに分かる事だろう。
なぜ、いま、王家が私をブリジット嬢の護衛に送ったかは、馬鹿でもわかるだろ」
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