27話~難しい話は置いといてご飯にしましょう
「ふ~ん。それで、アルキュビアと…仲良く?なるって事なのね。」
「仲良くって…友好国な。」
「でも、それってなんの意味があるの?同盟でもないんでしょ?ただお金払って終わり。みたいなことにならないのかしら?」
「そこらへんはこれからだろ。どの程度の事を求められて、何をくれるのか。話自体がいきなりだったから暫く時間はかかるだろうけど。」
「何か起こったとしてもそれなりに距離のある国だから、私たちが飛んでくにしたって時間がかかるわ。そもそも一日で到着できるとは限らないし。」
「まぁBクラス以下が数人派遣されてきたところで状況を覆せるとは思えないから、Aクラスを要求してくるだろうな。でないとウチに話を持ってきた意味がない。
とはいえ、お前が派遣されることはないだろ。」
「なんでよ。」
「どこの国がたかだか友好国の為に最強の戦力を一時的にとはいえ手放すかってんだ。
お前は特A級の中でも最強の戦力なんだ。お前の代わりを他の特A級のヤツらが務められるなら話は別だけどな。」
「ふーん…ま、最強だから仕方ないわね。私がいないとこの国が困っちゃうから。」
「それが冗談じゃないのがお前の存在の規格外さを表してるよ。」
ふふん。といった具合に自慢げに背中を反らすレキシー
褒めてやれば正直に嬉しそうなリアクションをするところも昔から変わってない
先日のヨゼフィーネとの会合を経て、正式な国家間の話し合いに事は発展した
今まで保ってきた均衡が小さな国のクーデターで崩れようとしている現状を父上、国王陛下に話したが、各国ともに共通の認識を持っているようで、既に何か国かから世間話程度の連絡は来ているらしい
だが、ここまで具体的に接触を図ってきたのはアルキュビアが初めてだそうだ
戦力に乏しく、錬金術に秀でた中立国。自身の弱さを正確に理解しているからこそ行動は早かったのだろう
「でも機会があるなら私も派遣してほしいなー。」
「なんでだよ。」
「だってウチの国は特A級魔術師が五人いるのよ?そんな国に喧嘩を売る所なんてある?
仮に私が抜けたとしても四人残ってる。あの人達も弱いわけじゃないから、十分な戦力だと思うのよね。」
まぁ、特A級魔術師が弱いわけはなく、四人いれば十分という主張は理解できる程にはヤツらも規格外だ
「とは言えだ。やっぱり最強戦力は手元にないとダメだろ。ジョーカーは先に切った方が負けるってのは常識だろ?」
「ジョーカーが五枚あるって考えればイイじゃない。そんな勝確の手札なのにベット積めない弱気な姿勢じゃダメよ。」
「いや、ベット積んでもレートが1.0倍だから。精々1.1。なにかうま味がないと賭ける意味もないの。」
「いいじゃない、楽しそうだし。」
「本音!」
「だって~!せっかく高位魔術を使えるのに!」
「あのね…世界を左右する力云々言ってたのはどこのどいつだ。」
「あれはあれ。これはこれよ。悪いように力を使われるのは嫌だけど、せっかく研鑽してきた力を使えないまま引退なんてのも嫌なのよ。分かる?この二律背反が!」
使う機会のない技術なんて意味がないって思うのは分かる
俺も高位魔術師の端くれだから、思いっきり魔術をぶっ放したいって感情はいつでもある
「それでも、俺は俺の危険度を正確に理解してる…つもりだからな。」
「はぁ~~~…あなたってホント、いい子っていうか、自分を主張しないって言うかよね。昔から。」
「うるさいな。理性的と言え。」
「ま、どちらにしても今後次第ってことだもんね。楽しみに待ってるとしましょう。
で、そろそろお昼時だけどどうする?せっかくだから食べていく?」
「…作るのか?」
「まぁね~。いつも外食って訳でもないし、今日はあなたが来てるし、偶には作ってあげるわよ。その代わり、おいしかったら素直においしい。って言いなさい。」
「お前料理苦手だろ。」
「うっさい。おいしくてもおいしくなくても、マズいなんて言ったら分かってるわね。」
この後、意外と上手くできた事が嬉しかったのか、何度もおいしい?と聞かれるのには辟易とした事を付け加えておく
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