26話~管理貴族制国家
「とりあえず、この場で返答は出来ない。それは理解してもらえるかな。」
「それはもちろん。こちらとしてもしっかり協議して頂きたいと思いますから。」
「それでは、一旦この話は終わりってことで。」
気軽なというか、そこまで重要な会談だと思ってなかったのにけっこう大きめな爆弾放ってきたな
ホント疲れるんだよこういう話は
「ふぅ……緊張したね…」
「今後はこんな重要な話するならちゃんと段階踏んでもらえるかな。そもそもが俺にする話じゃないんだよな。外務局とかを通してする話だよ。」
「むりむりむり!私ほんと真面目な雰囲気苦手なんだって!」
なんで大使なんてしてんだよじゃあ
「ちょっと話続いちゃうけどいい?」
「ん?いいけど?」
「アルキュビアって中立国じゃん。なんでまた急にこんな話を持ってきたわけ?」
話はおしまいとか言ったけど、気になるもんは気になるよね
「ん~…確かに中立国なんだけどさ、だからと言ってどことも関わらないで孤立してやっていけると思うほど傲慢でもないのよ。
むしろ錬金術国家だから魔道具を買ってくれる先が必要だし、他国と共存する必要があるの。国土も狭いし、食料自給率も100切ってるしね。
さっきも言ったけどそれで独立が保ててたのは世界の均衡が保たれてたから。それがこの前のクーデターで崩れた。だから大口の取引先兼、借りる威を探そう。ってなったからだよ。
ホントに、さっきの話に表も裏もないの。それで必要な出費は覚悟してるし、どうせ借りるなら一番強い肩書がいいじゃん。」
それがホントだとすると随分とぶっちゃけた交渉を持ち掛けてきたもんだ
ふつう足下見られるぞ
「えらいぶっちゃけたな。」
「それだけ切実だって事よ。あとは最初に誠意を見せておかないとね。我々はアコギな商売はしないんですよお客さん。
「誰がお客さんか。」
「あっはは。王子ノリいいね。ついでにこの国の貴族制についてちょっとお話してくれると嬉しいんだけどなぁ。」
「うちの王子純なんで。色目使うのはやめてもろて。」
「ありゃ、番犬ならぬ番獅子が怖い。」
「番獅子か…リオン、二つ名変えるか?」
「番獅子はやだなぁ。」
「その話はいいよ、ラッセル王子。それより、お話。」
「あぁ…貴族制についてだっけ?でも周知の話しかないけどなぁ。」
貴族という特権階級が存在して、ある程度政治的な発言力やポストへの影響力を持ってるってだけの話
それ自体は該当する国は他にもある
「いやいや。種族的な血統を守るための貴族制が成功してる国なんてここだけだよ?
貴族の所領を認めてないのに制度は続いてて、婚姻関係にまで国が口を出してくるのによく保ててるよね。」
その点に関しては稀有な国であることは認める
婚姻に口を出すのも、純血主義ではないけど、合理性があっての事だし、所領を認めなくてもキチンと爵位に応じて金銭は支払われてる
何より、貴族と王族の婚姻が爵位の上下に関わらず起こり得るという点も大きい。言うなれば、どの立場の貴族でも王族と親戚になれるという訳だ
実際、ほとんどの貴族が王族と何かしらの血縁関係がある。もちろん近親婚とか、種族の血統のバランスを考慮したうえで婚姻は結ばれるため、かなりの遠縁ではあるのだが
もちろん貴族同士の婚姻も同様だし、場合によっては純度を上げる為に市井や国外から本当の純血。ないしはそれに近い人物を迎え入れる場合もある。もちろん本人の同意を取り付けたうえでの話だ
「そこまでしっかりと国家単位で管理出来てるのはホントすごいよ。この国の貴族様は頭いいんだなってのと、保守的なんだなって思う。
自己の利益だけじゃなくて、国家としてどうすれば利益があるのかをちゃんと理解してるし、それを維持する事が長い目で見て自分たちの利益になる事が分かってるってことだもんね。」
「それは歴史的なものが関係してるかもなぁ。一回貴族制どころか、王政が崩れる直前まで行ったから。
そこから立て直すのは大変だったって記録がある。」
「そっか~…じゃあさじゃあさ。私アルキュビアの中ではかなり血統のバランスが保ててると思うの。
王子と婚姻を結ぶとしたら、可能性としてはどれくらいあるかな?」
「ん?何を言ってるのかなぁ…?今日ほぼハジメマシテの癖に?」
「おぉう…王子。護衛の方の圧が怖いです。」
「知らん。笑えない冗談を言うからだ。」
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