24話~錬金術国家アルキュビア
「本日のご予定ですが。」
いつものように始まった一日は少々いつもとは異なる
ここ最近、スタンピードを口実に俺との会談を何度も申し込んできていた国の人物と会わざるを得なくなった
錬金術国家のアルキュビア連邦。魔道具を作成する技術である錬金術を国家の柱とした中立国家で、国土は狭いが国民のほとんどが何らかの形で魔術に携わっているという異色の国家である
魔道具を作るには大なり小なり魔術の心得が必要になる。より高度な魔道具を作成するならば当然求められる知識量は増えていく
その反面、魔道具作成には魔術技巧そのものは必要とされないことが多い
知識と工程。魔術師が技術で引き起こす魔術という超常現象を理解しているか否か。そこに全てが掛かっていると言っても過言ではない
もちろん、魔道具一つで高位魔術師が行使する魔術と同じことが出来る訳ではないが、本来魔術を行使できない程度の魔力しか有していない人でも、簡易的な魔術を発動可能にするための道具を作る事
それを根幹として、一般家庭の生活道具から治安維持部隊で使用する武器や兵器に至るまで、魔術同様に現代を支える技術であることは間違いない
「そのアルキュビア連邦の大使と本日会談を持たなくてはいけない訳か。」
「ここまでしつこく要請されるのであれば、一度場を作らぬことには相手も引かぬでしょうから。
覚えておいででしょうか。かの国の大使は昨年代わったばかりでして、着任の挨拶以降顔を合わせる機会がございませんでした。
それもあって、王子と顔をつなぐ意味もあるのではないかと。」
「そういえばそうだったな…別に俺から用事はないんだけどな。顔をつなぐなら外務局長とでもしてればいいだろうに…」
「彼らの興味の大半は魔術と魔道具にございます。外務局よりも特A級管理局の方が重要度が高いのでしょう。」
「外務局の前でそんな態度取ったら大ひんしゅくだぞ。嫌だぞ俺、外務長官から嫌味言われるの。」
「仮にも大使ですので…さすがにそこは弁えてらっしゃるかと思いますが。」
「いや…なにかしらに振り切った奴らってのは信用できない。」
元々腹の探り合いみたいなのは嫌いな性質なんだよ俺は
かと言って何でも明け透けに話す様な開いた性格もしてないし
何と言うか…普通なんだよ俺は
「で、何を聞かれるんだ。質問表は来てるんだろ?」
「もちろんです。ただ、話が脱線する事が確実視されますので、記載のない事についての回答もご用意なさった方が宜しいかと。」
「何が聞かれると思う?」
「錬金術に関連しないことは間違いないかと。魔術適正などが鉄板と言ったところでしょうか。」
適性とかあまり他人にぶっちゃける話題ではないんだよな
適当に小出しにするか、まったくのウソを教えるか…
ある程度は既に知られてるものもあるから仕方ないとしようか
「という訳だからリオン。予定の時間は一緒にいてもらうぞ。」
「それは当たり前なんだけどさ。逆に私が一緒にいない時間の方が珍しいよね~。
なんか改めて言われても、今更感がすごいよね。」
「一応だ、一応。何かで食い違いがあったら困るだろ。」
「そーだねぇ…。ま、確認する事は大事か。うん。」
別にリオンの部下のロイヤルガード隊員を信用してない訳じゃないけど、リオンがいるといないとでは安心感が段違いなんだよな
特に面識の薄い人と会う時
伊達に白兵戦最強ではないってことだよ
「では、確認もできましたところで準備を進めてまいりましょう。
事前に作成した質疑応答についての回答を書面に起こしましたのでご確認を。」
先ごろのスタンピードに関して…魔術師に対する国民感情の対策について…
事後報告とはいえ、書面で回答した内容も普通に入ってるんだよな…
改めてご回答を頂きたい。とか書いてあるけど、本当に建前だな~。って感が否めない
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