23話~職務経歴
例の注意の御触れが出されてから国内の情勢は落ち着きを取り戻しつつある
それと入れ替わるように、各国の大使館から先日のスタンピードに関する説明を求める声が大きくなってきた
大きくなってきたというよりは、各本国との調整が済み、こちらに連絡してくるタイミングが重なったと言った方が正しい
とは言え、書面で事後報告をしておいたから大体の問い合わせはポーズみたいなものだ
「なんだけど、中には突っ込んだ話を求めてくる国もあったりする訳だな…」
「ある程度は仕方ありますまい。各国としても対外的な面子というものがあります故。」
「それもこれもお前が派手過ぎる魔術を使うからだぞレキシー。」
「悪かったわよ。ちょっとテンション上がって威力高い魔術使いたくなったの。久しぶりだったし。でも一撃で終わらせられたんだからいいじゃない。」
「その事後処理がまだ続いてるけどな…」
魔力の拡散自体は数日で完了したから問題ないものの、こういった書類上の処理だとかはめんどくさいんだよ
「おおかたの国は書類を送れば終わりみたいなもんだが、やっぱりエルフ族とか、錬金術師は知的好奇心が大きすぎてそっち方面の追及がめんどうだし、中堅国家は少しでも足引っ張ろうとしてんのか、難癖みたいなんが来るしでめんどうだなぁ…」
「ラスあなた、さっきから面倒ばっかり言ってるじゃないの。」
「仕方ないだろ。面倒なものは面倒なんだよ。」
「仮にも部下の前よ。シャキッとしなさい。」
「仮にも上司の前だぞ。きちっとしろ。」
「屁理屈言わない!」
「お前だろうが!」
「二人とも仲いいねぇ…。私達除け者だねセバスチャン。」
「お二人はご学友時代からの付き合いですからな。気が置けぬ仲とはこのようなことを言うのでしょう。」
学友というか腐れ縁だよ
レキシーは飛び級の上に学生時代が短かったから甘酸っぱい何かがあったわけじゃないがね
「でも思い返したらあの頃からの付き合いが続いてるのってラスだけなのよね。
元から人付き合いが得意な訳ではなかったし、すぐにAクラスになっちゃったしね。」
「Bですらなんて言うか、気安くは近づけなくなるもんな。Aなんてとんでもないんだろうよ。」
「確かにね~。私は普段から王子とかと接してるから何でもないけど、超お偉いさんとかって話しかけたりするの勇気いるもん。」
「リオンもそこそこお偉いさんなんだけどな、実際。」
「いや~、でもAクラス魔術師と比べたらロイヤルガードって言っても下でしょ。」
「比べる相手を間違えてるわよ、それ。」
Aクラス魔術師と肩を並べられる立場の人間がこの国にどれだけいるのかって話だよ
国王と特A級長官、下手したらその二人しかいない可能性だってある
リオンの所属するロイヤルガードは独立性の高い組織だから立ち位置が難しいし
「それで言うと、今まで聞いたりしなかったけどセバスチャンはどうなの?所属とか。」
「私は内務局王族傍仕え課の所属で御座います。王族の皆様のご公務をサポートする為の部署です。」
「あ~、内務局なんだ。てっきりセバスチャンも軍務局なのかと思ってたわ。」
「セバスチャンって動きがガチの達人の動きしてるもんね。その勘違いも分かるよ。」
「グリフィン卿に褒められるとはおもばゆいですな。軍務局にいたのは昔の話でございます。
鉄火場からロイヤルファミリーの皆様の御傍仕えとなった者は少ないでしょう。光栄なことでございます。」
「セバスチャンはそもそもデローザン伯爵家の次男だから傍仕えとしての格は十分だったし、軍務局の人間だったとはいえ、事務系の仕事にも明るかった。
その上、いざという時の戦闘にも対応できるからわざわざ俺の傍仕えとして移動してもらったんだよ。」
「もともとロイヤルガードだったしね。セバスチャン。」
「そうなの!?」
「それこそ昔の話でございますな。ラッセル王子の御傍に使える少し前に既に引退しておりましたよ。」
「それでも意外だったわ。元ロイヤルガードか…そりゃ強そうなわけよね。納得だわ。」
「口ぶりからして、リオンは知ってた訳?」
「まぁ、異動したといっても先輩にあたるわけだし、当然知ってたよ。むしろレキシーちゃんが知らなかったことが意外。」
「こいつは昔からあまり難しく考えないタイプだったからな。気になったタイミングが今なんだろうよ。」
「だって今まで気にしてもなかったんだもん。しょうがないじゃない。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます