22話~とある魔術師のコンプレインズ
「国民感情の高揚に伴う諸々の注意だぁ?」
先日、朝礼で促された注意に加えて、特A級管理局の方から全魔術師に向けて同じ内容の通知が来た
要は、俺たち魔術師がデケェ態度取ってると国民からクレームが来るから大人しくしとけって話らしい
「はっ…」
笑えるぜ
何が大人しくしとけだ。そんなにクレームがこえーなら特A級魔術師なんか動かすなって話なんだよ
確かに、あの魔術には俺ですら度肝抜かれたぜ。あり得ねぇ威力の魔術をありえねぇ発動速度で行使しやがった。そっちの方がこえーわ
俺だって魔道具の映像でしか見てねぇけど、魔術がずぶの素人な連中からすりゃ恐怖だろうよ
ってかクレームとか入れてんじゃねぇって
実際、魔術師に守られてんじゃねぇかよ。別に危害加えられてる訳でもねぇのにテメェの気に食わねぇって感情で噛みついてくんじゃねぇっての
「よう。なかなか酒が進んでるじゃないの。ヤケ酒か?」
「うるせぇよマスター。魔術師でもないお前にゃ関係ねぇな。」
「おおかた、魔術師の素行に対する注意の件だろ。」
「知ってんのかよ。」
「うちの店の客には治安部隊の奴らが多いもんでね。お前さんみたいにな。色々騒がしく話してると嫌でも聞こえちまうってもんさ。」
「で、なんの用だよ。クレームなら俺じゃなくて局か、特A級管理に言えよ。」
「まぁそう邪険にすんなよ。無駄に年食ったおっさんの助言程度に聞いといてくれりゃいい。
全員が全員とは言わねぇが、魔術師の連中に態度のデケェのがいるのは事実だ。そうだろ。」
「だから何だ、って話なんだよ。魔術師だけじゃなくて、そんな奴らそこらへんにアホみたいにいんじゃねぇか。
商業ギルドでも、狩猟ギルドでも、錬金術ギルドでもどこでも一緒じゃねぇかよ。」
「まぁ聞けって。お前さんの言う通り、横柄な態度取るやつらってのはどこにでもいる。
けどな、そういう話じゃねぇんだ。お前ら魔術師も、ギルドのお偉いさんも、貴族のお偉いさんだってそうだ。
なんか偉そうにしてるやつがいる。それが立場の弱い人間からしたら気に食わねぇのさ。」
「だから実際に偉ぇし、顔だってきく!なんでそれを非難されなきゃいけねぇんだって言ってんだよ!んなの単なる嫉妬だろうが!
別に法に触れてる訳でもねぇ!そんなに羨ましかったらお前らもそうなりゃいいだけの話だ!」
ってく胸糞わりぃ!折角酒飲んでたのにテンション下がったぜ
気分じゃなくなっちまった…帰るか
「理屈じゃねぇんだよ。あと、帰るなら勘定。」
「…くそが。」
ただでさえイラついてんのに説教垂れやがって
「おいおい、釣りは?」
「いらねぇよ!気分わりぃな!」
俺は説教聞くために酒場に来たんじゃねぇってんだよ
「あ~ぁ…釣りも受け取らずに帰っちまいやがった。
…偉ぇ人間ってのはな坊主。自分の事を偉ぇって思っちまったらダメなのさ。」
「おうオヤジ!若ぇのになんか偉そうに語って自分に酔ってんじゃねぇのか!」
「うるせぇぞ酔っ払いども!黙って酒でも飲んどけ!」
「だっはははは!俺からも教えといてやるぜオヤッさん!ブーメランが返ってこねぇご高説なんてねぇんだよ!」
「ちげぇねぇ!ぎゃははははははは!」
「うるっせぇって言ってんだよクソ野郎ども!酒取り上げんぞ!」
「酒を人質にとるのは鬼畜の所業だぜ!」
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