16話~特別Aクラス戦術級魔術師
「ねぇラス。」
「なんだよ。」
今日も今日とてレキシーが来てる訳だ
もちろん今日も訓練と称したイジめを受けた
もうしんどい
「前から聞きたい事があったんだけどさ。あなた、なんで特A級の長官になったの?あんたなら自身が特A級になる事も出来ると思ってるのよ。
正直に言っちゃうとさ、今はA級に届いてないわ。でも研鑽を積めば絶対届くと思う。一位は私がいる以上は絶対無理。でもいずれは特A級も夢物語じゃないと思うのよ。」
現一位のレキシーからA級に届くと評されるのは素直にうれしい
現在の俺の位階はB+。A-に届かせるにも相当な努力が必要だ
特A級の要件を満たすにはそれ以上の労力が必要なのは言わずもがな
それを目指して努力するのは全然嫌じゃない
とは言え、なりたくてなった訳じゃないんだよな…
「別になりたかったからなったわけじゃない。役職の特性上、魔術に関して造詣が深い人物でないといけないし、王族内に運よく該当した人物として俺がいただけだ。
ある意味、自分の魔術の実力を認めてもらえたという事でもあるし、まぁ嬉しくない訳ではない。
お前達特A級も全く実力ないヤツが長官だと絶対いう事聞かないだろ。」
「言う事聞かない自信はあるわね。」
「聞け。特A級は国家の重要役職なんだから自覚を持て。」
「能無しに従うなんて嫌よ。私の力は世界を左右する力よ。唯々諾々と指示に従う存在であってはいけないの。
あなたならまぁ、間違った使い方はしないだろうし、魔術の威力とかも正確に理解してるし、そういう意味ではあなたが長官っていうのは私達にとっては都合いいわよね。」
魔術という絶大な力は使い方を誤っては世界を。ひいては自分自身を滅ぼすという事は魔術師が絶対に忘れてはいけない精神の一つだ
Aクラスの魔術師は国にとって国土を守るという観点で非常に重要な存在であると同時に、使い方を誤ると国が丸ごと消滅させられるリスクも孕んでいる
だからこそ、魔術の事を深く理解していないものが長官に就くことは過去に一度もなかったし、より行為の魔術師がその職責を負うことが良いとされている
「今では戦争自体がすごく少なくなったし、当り前な感覚があったから意識する機会も多くなくなったけど、おまえ実はしっかり考えてるんだな。」
「当り前じゃない。私はAクラスに達した時点で言うなれば兵器なの。意図して高めれば、確実にこの街をふっ飛ばせるだけの魔力が自分の中にあることを感じる。
世間一般には高位魔術師って色んな特権もあるし、憧れの目で見られがちだけど、いいことばかりじゃない。私が一般人としての扱いを受けることはもうないのよ。」
その苦しみは、俺には理解し得ない
世間が憧れを向けるその高みを理解できる者は、この国でも五人しかいないんだから
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