9話~誰も彼もわがまま
「結局リオンもついてくるのね……」
「ロイヤルガードだからね~。」
基本的に身辺警護役は対象から離れる事はない
ロイヤルガードともなればなおさらだ
という事でリオンを伴い、レキシーと共に城下町に繰り出してきているわけだ
「心配しなくても私は後ろからついて行くだけなんで。落ち着いてくださいよ。」
「落ち着くわけないじゃない。」
気分は保護者同伴の学生デートなんだよな
懐かしいな学生時代
「はぁ…。まぁいいわ。じゃあラス、何が食べたい?」
「え?お昼けっこうしっかり食べたからお腹空いてないんだけど。」
「間食くらい入るでしょう?せっかく王城から出てきたんだから付き合いなさいよ。私少しお腹空いてるの。」
「じゃあ、とりあえず焼き串で。」
「定番ね。こっち行くわよ、食べ歩きなら任せなさい。」
暇人の証明か
「なによ。」
「……なにも。」
「不敬な視線を感じたわ。」
ムダに鋭いやつめ
しかし今日はたまたまリオンと外食に出たけどやっぱり城下町ってのは馴染みがないな
王国民の生活を知るのは為政者…為政者か俺?
為政者じゃなくても、王族としては理想の事なのかもしれないけど…めんどくさいし
「どうよラス。庶民の料理もおいしいでしょ。」
「庶民強調するほどお前も庶民じゃないだろ。子爵家第四子やろが。」
「子爵家の四子なんて庶民みたいなもんよ。嫡子でもないし、自分で身を立てないといけないんだから貴族然としてる必要なんてないの。」
「特A級の時点で普通ではないんだよ。自分の家を興す権利も与えられてるでしょうが。」
「使う気はないわね。別に今の時代貴族になっても大きな利益がある訳でもないし。」
各貴族に土地が与えられ、そこからの利権を得ていたのは今は昔
現在は王国直轄地しか存在しなくなっており、貴族領はない
行政機関にも市井の出身者が参加してくるようになって久しいし、比率も今では貴族出身者よりも大きい
金銭的、特権階級的な利益が昔に比べれば激減した今、レキシーの様な物欲があまりないヤツには魅力には映らないのかもな。貴族は
「ま、そういう訳だから。私には今の状態が理想なのよ。
お金に困らないくらいの仕事に就いて、魔術を使える環境で、自由にできる軽い身でいたいのよ。」
「わがままな要求ねぇ~。」
「それは自覚してるけど、人それぞれなの。あなたみたいにラスの傍にいられればそれだけでいい。って人じゃないの私は。ってかそれもわがままって言えばわがままなのよね。
行ってしまえば、王子様の近くにずっといたい。ってことでしょ?夢見る乙女じゃない。」
「その為につけた実力だからね。」
「そういう話は本人のいないところでしろよ…」
「馬鹿ねぇ。本人の前で言うから面白いんじゃない。」
「王子。本気にしちゃいます?」
「やかましい。」
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