8話~特A級魔術師レキシー


リオンとのランチデートを終え、王城に戻ってきた俺たち


とりあえず軍務局の提案についてセバスと協議することに




「連絡手段の改善ってのはまぁいいとして。何か切っ掛けの様なものでもあったか?俺は何も記憶してないんだが。」


「軍務局からの申請でありました魔獣の出現率増加に伴う予算分配の再考についてくらいですが。」



「魔獣か。治安維持部隊の間引き作業では追い付かないレベルか?」



「現状では影響はないかと。倍する数値になったとしても、B級の魔術師を含めて編成すれば問題はない程度です。」



「なら問題なし。予算の再考は却下で。」



「畏まりました。」




魔獣問題は俺でも解決できるレベルか。


実際問題、魔獣って問題になったのは何年前だ?


本格的な軍があった頃か?




「セバスチャン。魔獣が本当に問題になったのはどれくらい前なんだ?」



「正確には記憶しておりませんが、数十年は昔の出来事かと思います。

魔術技巧の進歩に伴い、各国が軍縮の方向に舵を切って以降は大した問題にはならなかったはずです。

そこから判断するのであれば、少なくとも70年は遡らなくてはなりません。

王子はもちろん。父君である陛下、私ですらも産まれておらぬほど前という事になりますな。」




………そんな前か


治安維持部隊の被害報告もまぁ戦死報告が入ってきた記憶はないし


まぁ特A級の奴らがいれば万が一もないだろう


それを考えると益々必要性は感じない訳だが、億が一の可能性を否定はできないという事か




「ラス。入るわよ。」




……こいつはまた許可前に




「レキシー。許可を出してから入ってこい。」



「なによ。別に執務室でやましい事をしてる訳でもなし。それにちゃんとアポイントメントはとったわよ。」



「まぁ、そう言われればそうなんだけどな。」



「ハワード卿。王子の御前ですぞ。」



「セバス。あなたも相変わらずね。私は特A級なのだから、王族に準ずる特権があるのよ。」



「で、あろうとも。です。あくまで特権階級であるだけで王族と並ぶわけでは御座いません。」



「細かいわねホントに…」




それには激しく同意する


しかしこいつは何の用も無いんだろうな結局


まぁ、今日の業務はそろそろ終わる予定だしな




「で。今日の要件はなんだ。お前の事だから何もないんだろうけどな。」



「ないわよ。用事なんて。むしろ私が用事がある状況って緊急事態よ。

むしろ何もなさ過ぎて逆にどうしろって話よ。せっかくの魔術技巧も使う機会もないし、長官であるあなたと違って書類仕事もそんなにないしね。」



「書類仕事なんてお前達は必要ないしな。」



「したくもないわね。」




激しく同意だ




「という訳だから、出かけましょう。今日のお仕事は終わってるんでしょう?」



「今日はもう外出したからいやだな。」



「ごめんねレキシー。今日のお昼にランチにお出かけしちゃった。」



「は?何してんのよリオン。私がアポとってたの知ってるでしょう。」



「しょうがないじゃーん。今日は王子が外での仕事もあったしさ。」




建前上な




「何でもいいや。とにかく、外行くわよ。」



「いや、めんどくさい。」



「いいから行くの!」




拒否権なし




「じゃあ、私もお供しますね~。」



「あんたはいいわよリオン!」

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