男子校に入学したはずなのに、フラグ整理の会がある件:アヤカと百合のお時間
目を覚ますと、縛られていた。やたらと胸のコルセットを強調する縛り方で。
あと、男子諸君は何となく察してくださるだろうが、なぜか股下を通っているロープがとある個所と絶妙な位置関係を生み出し、めちゃ痛い。
「おはよう、カヅキちゃん!」
アヤカさんが逆立ちしている。
「なんで逆立ちなんですか……?」
「君が逆さづりなんだよ!もう、しっかりして?」
あなたの頭をしっかりさせた方がいいと思う。
「だからさっきから頭に血が上っているんですね。おろしていただいても?」
「もちろん!」
ビタンッ!
せめて背中を強打したかった。顔面ではなく。
「鼻血出てるよ?大丈夫?」
アヤカさんはびっくりするほどやさしく俺の鼻血を拭くと、そのティッシュを食べた。
「それで、カヅキちゃん、いや、カヅキたん!貴女には言いたいことがある!」
「はい、何でしょ。」
「今は百合の花が咲く時間だよ?」
「はぁ。」
「つまり、いちゃつこう、ということだ!女同士なら18禁にならないはず!」
この話がそもそも15禁ですらないことを忘れてしまったのだろうか。(いや、そういやこの間入れたんだっけ、15禁……。)
「じゃあ、まずはお胸失礼しますねー。」
本当に失礼だからやめてほしい。
「おっ、これは盛ってますねー?」
まあ、確かに盛っていることには間違いないけど、たぶんアヤカさんが考えている数倍は盛っているから触られるととれちゃう。
「まずはペロペロするところから行こうかー?」
やばい、今回はやたらペロペロネタが多いけど、この人はたぶんガチだ。そしてこの人に男であることがバレると、メイド喫茶が懲戒免職に……あれ?別に良くね?
懲戒免職になれば、校長に問題視されているメイド喫茶やめられるし、アヤカさんからも多分追われなくなるだろう。お金には今は困っていないし、最悪、他のバイトをすればいい。なんでもいいじゃないか。
「ぜ、ぜひ!」
「カヅキたん、目が怖いよ?なんかあった?もしかして、ここにおいてあった媚薬……は、飲んでないか。」
待った。ルナの奴、どんだけ媚薬売りさばいてるんだよ。
「さて、じゃあただでさえ興奮状態のカヅキたんにこれを飲ませると……デュフッ!」
久しぶりにデュフッ聞いたけど、相変わらず本能的な恐怖を呼び起こさせるよな……。
「ではまずはスカートとセーラー、どっちから行く?それとも、間をとって最初にパンツから!?」
まずこの縛ってある状態からどうやってそれだけを抜くのだろう。
……と思ったが、アヤカさんも考えていなかったようだ。固まってるし。
「カヅキたん、今から服を脱がすためにこのロープほどくけど、逃げないでね?」
「ハイハイー。ニゲマセンヨー。」
「絶対逃げるでしょ!」
そりゃ、バイトをやめるためとはいえ、こんなヤバそうな人に剥かれるのは勘弁だ。逃げる機会があるならそれを逃がしちゃいかん。
「仕方がない。カヅキたんが逃げられないように、大きな水槽(穴付き)を用意したよ!オートロックの!」
ドラえもんのようにどこからともなくでかい入れ物を取り出したアヤカさんは俺を中に転がすと、自分も入りドアを閉める。
「ちなみに、鍵は店長に超能力で溶かしてもらったから、これで正真正銘二人きりだね!」
「み、みんなが助けてくれます!」
「みんななら、君のキャンプファイヤーで焼き芋をした後、延焼した屋敷の一部の消火に言ってるよ!」
あんたも手伝えよ……火を起こした俺が言うことじゃないけどさ……。
「さあ、じゃあ、御開帳~。」
俺のロープを解き、服に手をかけたアヤカさんはピタッと止まった。
「ど、どうしたんですか?」
「……トイレ。」
「はっ?」
「乙女に何度も言わせないでよ!トイレ!」
「どこにあるんですか?」
「この水槽の中にはない……。」
「じゃあ、叩き壊すしかないですね!」
はい、18禁回避!ここ大事!
「この水槽、実は防弾使用で殴るどころか象でも壊せないんだよね……。」
ナニソレ。
「この水槽のうたい文句が、象が百匹乗ってもヒビすらない!だったから買った、丈夫さに極振りしたような水層なのよ。」
俺はこの時点で壊せそうな人を二人ぐらいしか思いつかない。
「しかたない。小の方だから、飲んで?」
いい笑顔で何言ってるんだこの人。目が恍惚としてるし。
仕方ない、最近困ったときはこの方法だよりになっている気がする。
「助けて、お姉ちゃん、大事な幼馴染ー!」
「「カヅキ(ショタ君)はウチ(私)が助けるッ!」」
ぐしゃぁんっ!
よし、割れ……てない!?この二人、ジャストで同じところに殴りかかってたよな!?なのに、ヒビ一つ入ってない。
「「いったああぁ!」」
シオリさんとカオリのこぶしがタコみたいな形になっている。物理最強の二人でダメだと……!?
「どうしたんですか、うるさいですよ。」
セレスさんまでやってきた。
「かくかくしかじか。」
「なるほど、それなら、私の氷の魔法とあなたの火の魔法を組み合わせましょう。グラスは急な加熱、冷却で割れるはずです。それを、魔法を使って一気に、何度もやります。」
なるほど、この人もしかして頭いい?なんで異世界人なのにガラスの弱点なんて知ってるの?と思ったけど、異世界にもちょっとはガラスあったわ。
「まずは私から行きますよ。」
セレスさんがそういうと、ガラスがパキパキッと氷が付着していく。
「さて、次はあなたの番ですよ。」
俺はさっきみたいに一気に酸欠にならないよう、火をつける。
「そうそう、さっきよりマシになりましたね。」
よかった、まだ視界ははっきりしている。
「さあ、もう一回……。」
がしゃぁん!
もう割れた。全部。シオリさんとカオリの手すら砕いた物理最強のガラスは、熱に対してよっぽど脆弱だったようだ。
「さあ、アヤカさん、早く!」
「いってきます!って言おうと思ったけど、もう行く必要ないからいいや。」
ここで一句。
なんでかな?聞きたいけれど、知りたくない。(字余り)
「一応、残りだけでも……。」
もうどこにでも行けばいいと思うの。
ささ、早く次に進もう。次は……。
「佐藤さん、もう逃がしませんよ?」
……進路相談か。絶対俺先生に嫌われてるだろうし……やだなあ。
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