第五話 湖のドクターチューブ
閉鎖されているホテルから見えないように木々の間に潜みつつ、地図を頼りに、うっそうとした林を歩く。
「距離としては、五百メートルと離れていないよね」
「ですわ。ここからもう少し東へ進めば、この二番館が見える筈ですわ」
地図上の湖は遊興施設で現在も開放されているものの、近隣が立ち入り禁止区域に指定されているためなのか、今は殆ど客は来ていない様子だ。
「この湖からも、一番館のホテルは見えないみたいだね」
「距離も近いようですし、まずは三番館の調査をして、湖に出てみましょうか」
「そうだね」
全裸にブーツ姿の二人は、緑豊かな林の道ではなく、緩い斜面を、ゆっくりと徒歩で登ってゆく。
「ふぅ…少し 暑いね」
「ヌーディスト専用のアイランドですし、惑星内でも 常夏地帯ですわね」
大樹に手を掛けて、根っこなどを避けながら、林の斜面を頑張って登る。
太い根を超えて大きく足を開いて一歩を踏み出すと、豊かな双乳がタプんと揺れて、丸いお尻が汗で艶めいて、健康美にキラキラと輝いていた。
「あの廃墟が、三番館ですわ」
言いながら、ユキはリミット解除をしたリングの各種センサーで、二番館を捜査する。
「この装置でこの距離では、確信が持てませんが…内部に 人間レベルの熱や動態反応は、ありませんわ」
「気を付けながら、周りを一周して 探ってみようか」
「ええ」
木々の間から注意して探りつつ、廃ホテル三番館の周りを、遠回りで一周する。
途中で水分を補給したら、ボトルの栄養水を少し、裸の巨乳に零したりした。
「少しお疲れですわ、マコト」
何時いかなる時も上品なユキは、そういうミスを殆どしない。
「ジテンシャ 漕いでるもんね…ふぅ…」
三番館はやはり、野鳥が巣作りをしている以外、特別な反応は無かった。
「次は、二番館を調べてみようか」
「ええ」
二人は林の中を、湖の入り口付近まで戻ってから、湖へと向かう。
いかにも、湖畔のアクティビティーを楽しみに来た。という芝居の為だ。
到着をした湖は広く、柵は無く、ノンビリと進むオートボートが数隻、停泊しているだけだ。
「ボートは目立つ…よね」
どうやって楽しむ芝居をしようかと考えていると、ユキが芝居ではなく楽し気な声を上げる。
「あらマコト! この湖には、天然のドクターチューブが 生息しているようですわ」
「ドクターチューブ?」
怪しげな博士みたいな名前だけど、れっきとした水生生物である。
十数世紀前に、地球で流行した「ドクターフィッシュ」という水生生物がいた。
小さな肉食魚が集団で人間に食いついて、肌の角質などを食べてくれるという、伝説によると命がけの美容方法だったとか。
「ああ、聞いたことがあるよ。当時の女性たちはこぞって、命を懸けて美を追求してたっていう、噂の生物だよね?」
美容関係に疎いマコトは、噂程度でしか知らない水生生物だ。
「実際は、それほど危険ではなかったという文献もありますわ。それで、この湖のドクターチューブですけれど、そのドクターフィッシュと似た生態の、水生生物ですの」
ドクターチューブが生息している水に人間が入ると、人体の角質や古い皮膚だけでなく、なんと筋肉どころか精神の疲労物まで吸収して、身も心もスッキリ。
「という、美容と健康を兼ね備えた、最新のエステですわ」
美容に関心の高いユキは知っていて、一度は体験したいと思っていたらしい。
「ですが、地球本星では取り扱いが 一件もありませんでしたわ。ね、マコト?」
マコトよりも頭半分くらい低いユキの眼差しが、甘えるお姫様のように愛らしく輝き、おねだりをしている。
真っ白いウサ耳がピクんと跳ねて、小さな尻尾をフリフリさせていた。
「まあ…少しは楽しんだ方が、万が一にもバラリー団に見つかっても、バレないかな」
「そのとおりですわ♪」
中性的な王子様みたいなマコトの優しい憂い顔に、ユキは喜びの笑顔をパァっと輝かせる。
「それでは、少し楽しみましょう」
二人はブーツを脱いで、リングやチョーカーなどのアクセサリーだけを身に着けた全裸になると、静かに湖へと歩を進める。
「きゃ、お水が冷たいですわ♪」
水温は程よい冷たさで、夏の気温で歩き回った汗の肌には、ヒンヤリと心地良かった。
湖の浅いところから深い中央へと歩いて行くと、裸の身体が、踵から脛から脹ら脛、更に膝から腿までと、湖水に浸されてゆく。
股下ギリギリまでの深度まで進み、晴れた林の湖で裸身濡らす、二人の美少女捜査官。
「はぁ…気持ち良いね」
両掌に水を掬って裸身にかけると、流れる水が陽光に照らされて、キラキラと輝く。
濡れる双乳や細い背中、括れたウエストや丸いヒップや深い谷間が、湖の澄んだ水をサラりと流した。
「この水も、心なしか柔らかくてスベスベですわ」
捜査を一時だけ忘れて、汗を流した肢体を水で清めていると、足下に何かが触れる。
「ん? あ、この生物って」
「ええ。この水生生物が、噂のドクターチューブですわ♡」
澄んだ湖水。
二人の足の周りには、クリアピンクなチューブ状の軟体生物が、ワンサカ集まっている。
本体は個々に、小指ほどから女性の指三本ほどの太さなチューブ状で、長さは数十センチから数メートルまでありそうな個体まで、様々。
一方の先端や体表の各所には、少しだけピンク色の濃い瘤状の吸引機関が、ムチムチと柔らかく吸い付くように蠢いていた。
「可愛いですわ♡」
「そうなの? あひゃっ!」
膝の裏側に小さな吸着を感じて、マコトはネコ耳とネコ尻尾がピンと立つほどに、驚かされる。
「マコトったら、そんなに–ぁひゃあんっ!」
ユキも、腿の後ろを吸着されて、甘い声を上げてしまった。
吸着そのものは強くないけれど、吸いつかれた箇所は何だか敏感に感じられてしまう。
「な、なにか急に 吸い付かれ–ひゃあっ!」
「マ、マコトっ–ぁあんっ!」
僅か数舜で、二人の美脚は各所で、ドクターチューブの口に吸いつかれ甘く優しく少し強く、ムチュムチュと吸われ始めた。
「ぁあんっ、これは少々、くすぐった–ひゃあんっ!」
ドクターフィッシュの情報などから、小さくツンツンされるとか想像していたら、意外と一斉に吸い付いてきて、微細に甘い刺激をしてくる。
「ユ、ユキ、これって–ぅあぁあっ!」
膝頭や内腿を吸われ、反射的に足を閉じようとしたら、湖底から離れた足の裏を数か所と吸い付かれる。
「く、くすぐったいですわ–んんんっ–このような…!」
美脚を襲うくすぐったさが身体の隅々まで広がって、力が抜けてバランスを崩したユキは、湖に仰向けで転げてしまう。
「ユキっ–ああっ!」
マコトも脱力し、四つん這いのような姿勢で転がってしまった。
郊外の湖で、全裸のまま仰向けのユキと、全裸で四つん這いのマコト。
優雅で穏やかなプリンセスを思わせる恵まれた肢体に、美しい中性的なプリンスを思わせる魅惑的な裸身に、多数のドクターチューブたちが吸着してかかる。
「ぁあんっ、そんなところ、イヤですぅっ–ぁぁああん…っ!」
仰向けにされた裸身が、下から背中へと吸着するチューブて支えられながら、白い巨乳や艶々な脇の下や細いウエスト、丸くて大きなヒップ、白いウサ耳にまで、吸いつかれてチュウチュウされる。
「は、離してっ–ぁああっ–そんなっ、ところっ、まで…っ!」
四つん這いにされた女体が、両の手足をシッカリと支えられながら、小さな桃色媚突やムチムチで媚弱な内腿、プルプル裸尻や艶々黒毛のネコ尻尾まで、処かまわずプチュるムチュると吸い愛撫をされる。
相手が水生生物とはいえ、解放的な野外の湖で敏感な個所を吸われるのは、恥ずかし過ぎる。
「もぅっ–ぁああっ–そ、そこはぁっ–っ!」
マコトとユキの両手足がチューブ巻きで拡げられると、陽光に晒される女性の秘めたい箇所にまで、チューブたちが吸い付いてくる。
「ぁああああああんっ–い、いけませんんんっ–あっあっあっあぁああっ–っ!」
座れる毎に全身へと、まだ二人の知らない甘い痺れが伝搬されて、全身の力が抜かれてしまう。
美顔は決して湖面に触れる事なく、チューブで支えられていて、女体も湖面から沈む事はない。
アクティビティーとして活用されているドクターチューブは、本能的に、決して、寄生主を危険な目になど、遭わせないのだ。
「だ、だめだってば–やあああ…っ!」
「そ、そんなところっ、吸っては–はぁぁあああああぁぁぅぅ…っ!」
軟体生物の体表の瘤状器官で、上下や後ろの秘すべき粘膜まで吸着をされて、唇から溢れてしまう唾液まで、余さず吸引されてゆく。
脱力する肢体が高ぶりで媚痙攣をして、マコトの美顔もユキの媚顔も上気して、ケモ耳もケモ尻尾もピクピクと震えて止まらない。
「も、もういいからっ–ぁああああっ!」
「ラメですうぅぅっ–ひゃめぇえぇっ!」
二人の知らない女体の高ぶりへと、全身の全てが攫われてゆく。
目の前が虹色に包まれても、水生生物たちの全身吸引は止まらなかった。
「ま、またですわっ–んぁぁあああっ!」
「吸われっ–すわれてるうぅっ!」
もう二人は、水生生物にされるがままにされてしまう。
利用客の身体から、体表や汗に含まれる老廃物、唾液などから疲労物質が無くなるまで、ドクターチューブは勤勉に働き続けた。
「はぁ、はぁ…驚いたよ」
「本当に…はぁ…まさかの体験、でしたわ」
チューブたちの吸引から解放されて岸へと上げられた頃には。全身が熱くて気怠くて重たくて、しかしフワフワとした感覚に包まれていて、気分はスッキリとしていた。
湖畔の草地でスベスベになった裸身を乾かしていたら、気力と体力も戻ってくる。
ジテンシャと林歩きの疲労からは、完全に回復をしている二人。
「…ドクターチューブ、確かに凄いね」
「ですわね。それに、マコト」
ユキが差し出した腕のリングには、二番館の捜査データが示されていた。
「…ボクたちの恥ずかしい体験は、無駄じゃなかったって事だね」
「結果オーライですわ」
そう微笑む二人は、お肌ツルツルなエステで満たされて、輝いていた。
~第五話 終わり~
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